劇場版「エースをねらえ!」

昨日の日記に鑑み。
「BSアニメ夜話」といえば、以前、劇場版「エースをねらえ!」を取り上げていた。


そのなかでクライマックスにおける緑川蘭子と宗方仁(異母兄弟)の以下のやりとり


緑川蘭子「聞かせてもらえる?岡さんを選んだ理由」
宗方   「…面影がどことなく俺の母に似ていた。」
蘭子   「(ハッとする)」


このシーンの宗方のセリフは失敗だった、みたいな事言ってたけど、そうか?


長尺の原作を90分の映画にする時、作り手がどうテーマを解釈したか、
そしてそれをいかに簡潔に表現するかは非常に大切なことであり、
このセリフ、この解釈があったからこそ、この作品は凡百のスポ根アニメの枠を超え
信じられない程の高みにまで達したと思うのだけれど。


何故、ここまで宗方が岡にこだわるのか?
ただひとり才能を見抜いた男だから?
否、彼は、自分の母に似た少女を、とことんまでしごき、情熱を傾け、自らの理想の女性に
作り上げたかったのだ。
…この宗方のアンビバレントな熱情こそが本作のテーマであると。


この作品はもはやスポ根アニメなどではなく、狂熱の愛のドラマであり、
それはヒッチコックの「めまい」にも似た陶酔感を呼び起こさせるものである
……と、思うのは私だけ?


「青春〜それは自由な、すがた」主題歌でもそう唄っている。
宗方にとっても岡とすごした数ヶ月は、青春の最期の輝きだったんだろうね。(○)

劇場版 エースをねらえ! [DVD]

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