リストランテ・パラディーゾ 感想

録画していた「リストランテ・パラディーゾ」を見た。原作は既読。
〈あらすじ〉元気娘ニコレッタ(CV:折笠富美子)が出逢ったのは、従業員は老眼鏡紳士のみ
(女性客に大人気)という少し不思議なお店…。
メンバーは優しいクラウディオ(CV: 山野井仁)、小言の多いルチアーノ(CV: 立川三貴)、
モグほっぺのジジ(CV: 喜山茂雄)、豪気なテオ(CV: 上田燿司)他の素敵すぎる連中。
彼らが織り成す「オトナの″小さな恋のメロディ″」。


「紳士萌え」(爆)という新たなジャンルを打ち出した原作者はオノ・ナツメ
オノ・ナツメ氏と言えば、サブカル系というかオサレ系?の人気漫画家。
その初アニメ化というわけなのだから、ファンの期待も相当高いと思われる。


第1・2話を見た限りでは、上手く映像化していると思った。
というのも、全作読んだわけではないが、私にとってのオノ・ナツメ作品は「大人の絵本」という印象。
それと似た感覚がこのアニメ版でも得られたからだ。
その要因は、おそらくアニメ版の「背景」にあるのではないかと思う。


「リスパラ」や他の作品で描かれるオノ氏のペンタッチや背景は非常に個性的で優美。
その世界観や読後感も一種独特のものだ。
そして、その絵柄はモノクロで描かれるのが、一番美しさが際立つように感じられる。
そんな原作をアニメ化するに当たって、「背景」や「色彩設計」をどういった形で表現するのか
制作者は相当頭を悩ませたのではないか。
もちろん、原作の表紙の世界↓を忠実に再現するというテもある。

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

しかし、アニメ版は違う方向性を打ち出したようだ。
アニメ版の背景も写実的な表現はあまり用いず、フリーハンドで描くような均一化されていない線で
背景を描いている。しかし、クレパスのような色彩で配色した空や街並みで形作られたローマ等は、
原作とはある意味「別物」だ。
そしてアニメ版の「これ」は、だれもが一度は絵本等で見たことがあるような、既視感を感じる世界では
ないだろうか(そうでもない?)。
そのせいか、なぜか安心できるし、本作に初めて触れる人も物語に入り込みやすいと思う。
そして、このような背景で描かれる物語は、ある種の「ファンタジー」であることも、
見る人に漠然と伝えていると思うのだ。


ただ、アニメ版の温かみのある背景や穏やかな線で書き起こされたキャラクターでは、
オノ作品特有のクールというか尖った作風を感じることは出来ない。その点を不満に思われる方も
いるのではないかと思うが、私はこれでいいと思っている(個人的な意見です)。
1・2話を見る限り、多少の脚色をしているものの話自体は原作にほぼ忠実だ。
それなのに、背景や音楽、声優さんの演技がつくと「別物」になり、しかも充分楽しめる。
また「小洒落た癒しの物語」「難易度の高い恋愛に果敢に挑む女の子の話」「母娘の和解の物語」等、
とっかかりがはっきりと見えてきて、間口の広い作品にもなっている。


しかし、原作とアニメ版に共通しているのは、「大人の観賞に堪えうるファンタジー」であろうという点
ではないだろうか。その意味ではアニメ版は、原作のエッセンスを充分表現していると思う。


作画に関して言えば、若干安定していない感もあるが、書き込んでいけばオノ作品のキャラクターに
なっていくのではないかと思う。デジタル処理もたいして違和感を感じなかったです。
また、声がつくと各々かなりキャラ立ちしてきてそれも楽しかったですね。特にルチアーノ(爆)!
今まで、ジジがお気に入りだったんだけど、ルチアーノにはまりそう・・・(笑)。
今後も、老眼鏡紳士による癒しの時間を楽しみにしています。(クーラン)