風が吹くとき(ネタバレあり)
ええっとですね。さっきヤフー掲示板を開いたら、「もう涙が止まりません」と題して
幾つか映画、書籍を紹介していたのですが、その中に「風が吹くとき」があったのですよ。
「風が吹くとき」。
「スノーマン」でお馴染み、イギリスのレイモンド・ブリッグズが1980年代に描いた核戦争が
勃発した世界を描いた絵本。
- 作者: レイモンドブリッグズ,Raymond Briggs,さくまゆみこ
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 1998/09/01
- メディア: 大型本
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絵本を原作にアニメ化されましたが、内容に感銘を受けたデヴィッド・ボウイが確か音楽だか
主題歌を担当したとかで、日本での公開当時もかなり話題になっとりました。
ただ、単館というかごく狭い範囲での公開だったようで当時子供だった私は観ておりません。
それから数年後、テレビで放映したのをビデオ録画して見ました。
登場人物の殆どが、田舎に暮らす老夫婦二人だけで、その老夫婦の描写がとても
可愛らしかったのを覚えています。
しかし、私が衝撃を受けたのは、この夫婦の「核」に対する無知でした。
政府のパンフレットに書かれている通りに「シェルター」を作る老夫婦なんだけど、
それが信じられないくらいチャッチイ作り。
ちなみにこの「シェルター」地下でもなんでもないのだ。
爆風が過ぎれば、その「シェルター」を抜け出して「普通に暮らす」無防備ぶり。
しかも、この二人あろうことか「雨水なら安全」とそれを飲みだすのだ。
それって、当然「黒い雨」だと思うんだけど。
被爆国である日本人なら、幼児でもない限り、当時まずありえない「核」に対する無知。
正直「そんなことも知らないんだ・・・。」という驚きがありました。
やがて、もちろん二人とも放射能に侵されます。
その描写が、表現を押さえてはあるもののやっぱり悲惨で、何とも言えない気持になります。
声を当てていたのが、確か森繁久彌様と加藤治子様で、最初ののどかな生活と終盤の
悲惨さとの対比が否応無く味わわされて、涙しました。
ラスト、この夫婦は最後まで愚直に政府を信じ助けを待ちながら死んでゆく。
当時は核の恐怖と共に無知って恐ろしい。という思いがあったのだけど、
「騙された!」という思いで死んでゆくのと、真相を知らず、お互い労わり合いながら
死を迎えるのとどちらが幸せなのか、今日ふと考えてしまった次第なのでした。(クーラン)