白昼の襲撃(制作1970年 監督:西村潔 出演:黒沢年男)ラピュタ阿佐ヶ谷にて観る。

無軌道な若者が破滅する様を描いた青春もの。
舞台がフランスならゴダールの「勝手にしやがれ
アメリカならアーサー・ペンの「俺たちに明日はない」…か。


社会から爪弾きにされた青年(黒沢年男・出情児)が、ひょんなことから拳銃を入手、行き当たりばったりに窃盗を繰り返し、ついには殺人に発展し、やがてヤクザ(岸田森)と関わり合いを持つようになり破滅への道を転がり出す。


拳銃と主な出演者のモノクロ写真がコラージュされたタイトルバックがカッコいい。
主人公の住むアパートが、いかにも昭和って感じの四畳半なのだが、たぶんこれはセットで窓からは書き割りの夕陽がみえたりして、いい感じ。
殺人を犯すシーンで画面にグリーンのフィルターかけて撮ったり、ラブシーンでは暗い室内に赤の照明を施したり、凝った画面作り(これみよがしではなくさりげなく凝った程度ですが)がさえています。
アウトロー青年達が集まって海辺でダラダラしてる感じも「青春」って感じで素敵です。
拳銃が、ルパン三世のファーストTVシリーズの放送前ですが、ワルサーとか出てきますし、音楽を日野皓正が担当していて圧倒的なエレクトリック・ジャズ・ファンクを全編に渡って奏でているなど、当時としては斬新だったのではないでしょうか。
二人の青年、黒沢・出情児の関係が「ダチ以上の関係」で「アニキーよー」って、モロに「傷だらけの天使」ですが、これまた、こっちのほうが先ですね。


では、時代を一歩進んだ傑作になったかというと、惜しい、残念ながら…傷天のようにはならなかった。黒沢氏が…ギラギラしてるのはいいんだけど、ショーケンのように青春の集燥感を表現していたか、ダメ人間なのに男も惚れる魅力を発散していたか…んー、してない。ミスキャストだったんじゃないかなー。
西村潔は、同じ時期プロフェッショナル同士(こっちはキャスト、バッチリの田宮二郎加山雄三)の死闘を描いた秀作「豹(ジャガー)は走った」を監督しており、本作も凝った画面と先駆的なタッチが魅力的なだけに、これは惜しい!って感じの作品でした。(○)