午前10時の映画祭

休日。この日は「午前10時の映画祭」に参加する為、休日の我が家としては驚異的な早出をして
映画館に向う。席は前日オットがとっておいてくれた。ありがとう、オット。


今回観た映画は「フォロー・ミー」(監督:キャロル・リード 出演:ミア・ファロー、トポル、
マイケル・ジェイストン)。
二十年位前に衛星劇場で放映されたのを見て心を打たれた。
録画して何度か見ているものの、劇場では初めてだし、かなり久しぶりなので、
楽しみだったり心配だったり。で、今回観たらやっばりイイ。すごくステキな作品です。


イギリスの上流階級の男とアメリカのヒッピーあがりの女の子がひょんなことから知り合って
結婚するんだけど、いつの間にか気持ちがすれ違い、夫は妻の浮気を疑って探偵に
素行調査を依頼する。


結婚の先にある男女の関係性とは?
この普遍的なテーマを、巨匠が肩の力を抜いて撮りあげたという感じ。
公開時の72年は、既にニューシネマが台頭し、新旧の価値観がせめぎあっていた頃だと思う。
巨匠はそれぞれの文化・感性・価値観を嫌味なく取り込んだうえで、男女の普遍的なテーマを
語っており、作品全体に大人の余裕が感じられる映画だった。


再見すると意外に会話劇だったのだなと感じる。あと、旦那さんはスマートな大人という
印象があったのだけど、今回観たらかなりおっさんな感じでびっくりした。
この人、今の私より全然若いはずなのに。この当時の「大人」とは皆こういうものだったのだろうか(笑)。
似たような設定で、イーストウッド監督の「愛のそよ風」という映画を思い出した。
オットとも話したが、あちらはキャストがグラマラスで若干生臭さを感じる(そこがいいのだが)。
その点、こちらのミア・ファローはコケティッシュ、マイケル・ジェイストンは神経質なおっさん
という感じ。男女の関係性がテーマの割には性的な匂いを感じさせないのも、ソフィスティケイト
されていて、観ていて心地良い。夫婦に波風を立てる探偵のトポルのオトボケぶりもイイ感じ。


夫や社交界に息苦しくなった妻が、晴れぬ心を抱えて彷徨うロンドンの街並はどこまでも美しく、
しかし、イギリスの曇天は彼女の心象風景のよう。
夫婦の問題がすっきりと解決するわけではない。それでも心温まる、さりげない終わり方に
絶妙な余韻がある。ロマンチック・コメディ?ではあるものの、どこか寂しさを漂わせる名画です。

フォロー・ミー FOLLOW ME [DVD]

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なんと初のソフト化!私が録画したのは、退色した感じの画質だったので、リマスター版の
発色の良さに感動した。あと、今回新訳だったようで、トポルのお菓子が「マカロン」と
訳されてたのにびっくり。このマカロン、やけにデカくてマズそうなのだ(笑)。