映画雑感(すみませんネタバレしてます)

「ソルト」(監督:フィリップ・ノイス
冷戦時代に極秘任務の命を受けてアメリカに潜入したソ連の諜報員が、長期の潜伏期間の後、ある事件をきっかけに破壊活動を実行する…というチャールズ・ブロンソン主演1977年製作の映画「テレフォン」を思わす展開だが、冷戦終結ソ連崩壊後の現在、誰が何の目的でこの計画を実行に移したのか。
しかも計画自体、自国の大統領をテロとみせかけ暗殺し、国際紛争を誘発しようとするかなり強引なもので、背後の因果関係が不明瞭。
また、ソ連諜報員教育係が、二重スパイ アンジェリーナ・ジョリーの正体及び計画の全貌を暴露しに、ノコノコ敵陣に現われる理由も分からない。
ならばこれは、007映画の如き超人的なアクションを楽しむべきか。しかし、この手の映画はアクションのあとに大見得きるような外連味がないとただ流れてしまうだけで印象は希薄だ。
アンジェリーナ・ジョリーは「60セカンズ」「トゥームレイダー」「Mr&Mrsスミス」それに今回とアクション映画は不発続き。


「告白」(監督:中島哲也
教室 1年B組 自意識が肥大化し殺意にまで発展した少年達に命の尊さを説く女教師(松たか子)。彼女の魂の授業とは復讐(ヴィジランテ)だった…ってこれもチャールズ・ブロンソン主演1974年製作の映画「狼よさらば」を思わす展開(牽強付会)。

主人公の男子中学生2人は結果的にどちらも母親を殺めることになる。
世の中は狂っている。狂った世の中を作ったのは、彼らの親世代か。故に、親が子に復讐される。リアルで怖い。傑作!


アウトレイジ」(監督:北野武
広域暴力団の血で血を洗う抗争…とチャールズ・ブロンソン主演1972年製作の映画「バラキ」を思わす展開(しつこい)。

椎名桔平扮するヤクザの幹部が、銃を突きつけられ、車に乗せられ、脅され、死にますよ死にますよって雰囲気の中、やっと死ぬ。
かつての北野バイオレンス映画「その男、凶暴につき」や「3−4×10月」のような唐突に噴出する暴力と死がここにはない。

面白かったのは石橋蓮司の扱い。
登場するたびに、痛めつけられてボロボロになっていく。
「獣たちの熱い眠り」のパロディでしょこれ。三浦友和出てるし。


斯様に、最近劇場で観た映画はブロンソン的に殺伐とした作品ばかりになってしまった。