THEE MOVIE -LAST HEAVEN 031011- を観て泣いた。

シネセゾン渋谷でミッシェル・ガン・エレファントTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT
の映画「THEE MOVIE -LAST HEAVEN 031011-」を観た。


本作は2003年10月11日に幕張で行われたミッシェル・ガン・エレファントのラスト・ライブ
の映像を中心に、過去のインタビュー映像等を挿入した音楽ドキュメンタリー映画
ミッシェル・ガン・エレファント“THEE MOVIE” ?LAST HEAVEN 031011? [DVD]



「ドロップ」にタイトルが重なるオープニング。
なんでこんなにも、この曲の序奏は切ないのだろう。
胸が締め付けられた。


劇中、若き日のチバ(敬称略)がインタビューに答えて言う。
「アベ君が入って(バンドが)始まった」と。
そして、その後のライブ映像で演奏されるのはミッシェルの楽曲中尤も美しいバラード「ブギー」。
チバもウエノもクハラも最高だけど、どうしても視線は昨年急逝したアベフトシを追ってしまう。
…フラフラ咲いて カラカラないた… 
鳴く ならぬ 泣いた よ 私も
映像の中のアベは、この曲のあたりから
(いつも、あんなにアグレッシブにジャンプしたりしていたアベが)
微動だにせずテレキャスターを弾くようになる。そして、ずっと、どこか一点を見詰めている。
今、この映像から受ける印象は、まるで何かを悟ったかのよう。


その昔、下北沢の街中でアベを見かけたことがある。
長身でスマートなたたずまいがこの世のものとは思えないほど美しく、オーラが強烈で、
とても声など掛けられる雰囲気ではなく、雑踏に消えていく彼を私は見送るしかなかった。
あの独特の趣は、本作の画面からも同様に、否、それ以上に窺い知ることが出来る。
それは、やがて訪れる訃報を知っているから尚更か。


更に、アンコール曲の最後の最後「世界の終わり」演奏中に、アベのギターの弦が切れる(!)
まるで嘘みたいに劇的で偶発的瞬間を見るにつれ、このあまりに暗示的なシークエンスは神々
の不穏な演出か!?と驚愕するに至る。


それにしても、
この映画を観ていて改めて感じたのだけれど、バンドってやはり「青春」なのだと思う。
キラキラと輝いてはいるけれど、永遠ではない、ある瞬間だけのもの。
そのキラメキがずっと続けばいいと願いつつも、確実に終焉がやって来るとわかっているもの。
冒頭の「ドロップ」が、なんで切ないんだろうと書いたけれど、本当はその意味は始めから分ってる。
輝きが激しければ激しいほど、その終わりはいっそう切ないのだ。


映画のラスト(つまりライブの最後)アベは「ありがとう」と言ってステージを去る。
こちらこそ「ありがとう」だ。


世界一カッコいいパブ・ロック・バンド「ミッシェル・ガン・エレファント」は解散してしまった。
青春の終焉。
もう永久に「バードメン」も「ゲット・アップ・ルーシー」も演奏されることはない。
しかし、私は、過去に彼らのライブに足を運ぶことが出来た。
その時、彼らと同じ場所で同じ時間を共有することができた。同じ時代に生きていられた。
それを私は心から幸福に思う。


ありがとう…。