「ファイナル・デッドサーキット 3D」…神経症の不安

さいたま新都心シネコンで「ファイナル・デッドサーキット 3D」を観ました。Final Destination (Score)
監督はデヴィッド・R・エリス
この監督の「セルラー」と「デッドコースター」が大好きゆえ、今回も期待
しましたが、本作は3Dの視覚効果を徹底して追及したアトラクション・
ムービーという印象のみ。


不思議な予知能力によってサーキット場での大惨事を免れた主人公
以下数名が、結局は死の運命に逆らえず、ひとりまたひとりと命を落としていくという物語。
その死に方が3Dの特性を活かして、画面の向こうから観客に向って臓物やらなんやらをフッ飛ばす
という仕掛け。
70年代の「空飛ぶ十字剣」や80年代の「ジョーズ3D」も観ていない3D初体験の私に、これは感性を
強く触発されました。
まず上映開始前に配られる偏光眼鏡のその形状にときめく。
  ←  ウルトラアイかっ…!?
果たして本編開始直後、サーキットを疾走するレースカーのパーツが外れ、観客である我々の眼前に!
オッ!!と思わずよけてしまいました。ホントに飛び出して見えるんですね。
小学館の学習雑誌付録の赤と青のセルロイドの立体眼鏡のただチカチカするだけの画像とは
異なるかつてない経験に感動を覚える。
その後も色んなものが画面に向って飛んで来て、あっという間の80分。
上映時間短いから、特に他に何かを訴えるでもなくそれだけ。
それだけでもいいんですが、人体破壊があまりにもCG風で質感に乏しいのが残念。
ゴロリと肉片が転がるその感じがコンピューターでは表現出来ていない。


なにげない会話のシーンにおいては3Dを意識した奥行きのある構図となっていて、近年のハリウッド
映画お得意の平坦なアップの切り替えしになっていないのは良かった。


それにしても…
映画はひとの心を映す鏡であって、ことにホラー映画は精神の暗部を描くことを主眼としている
と思うのですが、強迫性障害と尖端恐怖症の人の不安をこれほどまでに具体的且つ刺激的に
映像化している作品は本作(とデッドコースター)の他には、そうそうないと思います。
それは、いつか見た悪夢のように、ぞわぞわと胸に迫ってくるのです。