ウルトラミラクルラブストーリー(若干ネタバレアリ)

この日オットは休みを取っていた。夕方から「ウルトラミラクルラブストーリー
(出演:松山ケンイチ麻生久美子ARATA 監督:横浜聡子)を観に新宿へ行く。
一昨日買った前売券を握り締め劇場に着くと「月曜日はメンズデーの為、男性は千円でご覧頂けます」
との札が。せっかくのメンズデーに前売券(1300円)で映画を観るオットって・・・。


横浜監督の作品を観るのは「ジャーマン+雨」に続き二作目。
↓主演の野嵜好美氏は「ウルトラ〜」にもご出演

ジャーマン+雨 [DVD]

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  ちなみに↑の感想をオットが  コ  コ  で書いてます。


実は先日、我が家唯一の購読雑誌「テレビブロス」のインタビューで、この監督が長年のブロス愛読者
で「ピピピクラブ」のハガキ職人出身と知り、本作はますますとんでもないことになっていると
確信していたが、まさしくその通りだった(爆)。


東京から青森にやって来た保母・町子と農業をしながら一人暮らす陽人の物語。
町子には事故死した恋人のトラウマがあり、陽人は脳に何らかの障害があるらしい
(広汎性発達障害か?)。


陽人の突飛な行動に振り回される町子だが、そのことはこの際、置いとく。
私がこの映画を観て、最初、感じていたのは「いたたまれなさ」だ。
この映画に出てくる人の殆どは、子供から大人に至るまでミョー。
愛嬌を振り撒きながら、平然と毒舌漫才をかます保育園児(←かる〜くウザイ)。
賢者なんだか愚者なんだか分からない、何か超越しちゃった感のある陽人の祖母(渡辺美佐子)。
インチキなんだかホンモノなんだかよく分からないカミサマ(藤田弓子)。
親身なんだか適当なんだかこれまた分からない陽人の医者(原田芳雄)と幼馴染(ノゾエ征爾)。
陽人とこの人達が醸し出す雰囲気と、彼らの話す津軽弁のわからなさ(大体ニュアンスは伝わる)
が相俟って、妙にいたたまれない思いをさせてくれる(笑)。
そして、彼らがあくまでも「普通」に暮らす村では、もしかしたら「あの世」と「この世」の境が
普通に横たわっているのかもしれない。
そのせいかこの村の「死生観」は拍子抜けするほどアッサリしているようにも感じる。


こんな村においては、町子のトラウマも人目は惹いても大した問題にもならず、陽人の奇行に
周囲が手を焼いてもそれは日常の一部にしか過ぎない。
更には、陽人が村で出会う「彼」との邂逅も、陽人が死んだり生き返ったりを繰り返すのも、
物語上、極めて平坦に語られる。夢も現実も、あの世もこの世も全て地続きで語られるこの世界は
異界というか異質で、一遍の感情移入すら出来ない。そのことに更に「いたたまれなさ」を感じる(笑)。


でも、その「いたたまれなさ」が不快かというと決してそんなことはない。
たぶん「わからない」ということを不安に感じているだけなのだと思う。
つまり、この映画は「考える」のではなく「感じる」映画ということなのもしれない。
前作も「いたたまれなかった」が、まだ「考える」余地はあったと思う。
しかし、本作はまるで考えようとする横面を張り倒す勢いでラストまで突っ走る。
こちらも「命のセーブが効かない」と言わんばかりに暴れまくる陽人を見ていると、そんなこと
どうでもよくなってくる。
いたたまれなさとか、脱力感とか、疾走感とか、キラキラ感(なにそれ)とか?諸々そういったことを、
横浜監督は疑似体験ではなく原体験として、映画で観客に感じさせようとしているように思えた。
悪意すれすれの愛情で(笑)。


一応、この作品は横浜監督初のメジャー作品だが、前作より更に理解しがたい話で映画を撮り、
わけわからんまま一本見せきる演出力は只事ごとではないと思った。
松ケンと麻生久美子のせつないラブをお望みの方には満足は出来ないと思う。
しかし、見たことがない松ケン、見たことがないARATA、そして、映画史に残る驚愕のラストを
見ることが出来ます。


以下、おまけ
松ケン、麻生久美子、横浜監督サイン入りポスターがあったので激写しました!
ところで、普通のサイン入りのポスターってこんな感じでしょ。

(例:同館にあった、浅野忠信氏他サイン入り「インビジブル・ウェーブ」ポスター)


ところが、「ウルトラミラクルラブストーリー」のポスターは

なんじゃ、こりゃ!ゴールドのサインと松ケンの埋まっている土が一体化して、よっぽど
目を凝らさないと識別できません(爆)!ほんのりとした悪意を感じました(いい意味で・爆)。


イラッときたあなたは↓のビビッドなポスターで癒されてください(笑)。 (クーラン)