【ネタバレ御免】ジャーマン+雨

ユーロスペースで評判の「ジャーマン+雨(監督:横浜聡子)」を観る。


両親が離婚した時、どちらにも引き取られなかったよし子(16歳)は高校に通わず植木職人の見習いを
しつつSSWを目指す。
そんなよし子の日常(創作活動、幼馴染みやよし子経営の縦笛教室に通う小学生との関わり合い)
を描いた作品。


とても演出力のある監督さんですね。
即物的なシーンのなかにフッと主人公の活き活きとしたキャラクターを印象付けるシーンを挿入する
手際の良さ(例:小学生相手に本気のドッジボールのシーン、自転車に乗りながら小学生と戯れる
「アリ共散れ!」のシーン等)、この演出の呼吸は、観客を飽きさせないように工夫がこらされており、
エンタテインメントとして旨く成立している。このままメジャーで映画撮ってもソツなくこなせそう。


でも…。


地方都市を舞台にした、自意識過剰な十代の青春というと「バタアシ金魚」を
また、子供の朗読が幾重にも重なり声(音)に酔ったような感覚になるシーンは「白い指の戯れ」の
乱交シーンにおける祭囃子をそれぞれ連想してしまい、チョット新味に欠ける。


あと、本作は最初、主人公のトモダチのナレーション=まき(藤岡涼音)の主観ではじまるのに、
途中から、主人公の内面=よし子(野嵜好美)の主観に変わってしまうという文法の混乱は
如何なものか。


と、書いていて想う…
「8歳の時から全然変わってない!」
「小さい頃、コエダメに飛び込んで溺れた」
そしてラスト「病院のベッドで昏睡状態の主人公」
…16歳の主人公は、8歳の時コエダメで溺れて眠り続けている彼女の「死ぬ前に見た一瞬の夢」…
ならば混乱も当然か?と。
(オレは何でも押井守にこじつけないと気が済まないので。)


などと言いつつも
ガキがあまりにもリアルに「そこらへんのガキ」であったり
いぢられキャラのひさうちみちお氏(天才漫画家)が いぢってた(色んなモノを)等
見所の多い作品でした。


あと、この映画のパンフレット、非常に良く出来てると思います。(○)