三連休初日

この日は、夜から映画地を観に出かける。レイトショーだったので車で行った。
向かう途中、和食系ファミレスで食事を済ませる。
ということで今日の夕飯

鰯の蒲焼丼&そばセット(オット)、鰯の寿司&そばセット(私) 私はハイボールできめる。オットは呑まず


★「007 スカイフォール」鑑賞。
(監督:サム・メンデス、出演:ダニエル・クレイグハビエル・バルデムレイフ・ファインズジュディ・デンチ)
〈あらすじ〉イスタンブールで、極秘データを盗んだ敵を追う“007”ことジェームズ・ボンドは、敵ともみ合ううちに狙撃され、
生死不明に。MI6は007を死亡したと判断する。MI6本部が爆破されサイバーテロ予告が届く。これはMI6を率いる“M”に
恨みを抱く者の犯行だった。密かに生き延びていた007はMI6に戻り、敵に立ち向かうことを決意する。


良かった!久しぶりに007を見て面白いと感じることが出来て、とても嬉しい(以下ネタバレ)。


サム・メンデスが、初めてアクション映画を監督するとのことだったので心配だったが、意外にも見せ方が巧くて感心した。
冒頭のアクションシーンは、(お馴染みの・笑)列車の上だったが、積み荷のクレーン?を使ったり、ちょっとしたアイデア
見たことのないものを見せてくれたと思う。屋根の上の格闘シーンは、必死な感じが出ていて、これまでの超人的な強さを
誇るものではない。ボンドたるもの、涼しい顔をして敵を蹴散らしてほしいという考え方もあるのだろうが、個人的には人間らしい
肉体性を感じられて好感を持った。中盤の影で見せる格闘シーン等も、ハッとさせる演出で工夫を凝らしていたと思う。
その分、クライマックスのアクションシーンの演出がイマイチで、その点は少し残念だった。
なにより良かったのは、アクションシーンの分量を全体的に押さえていたこと。前半・中盤・後半に見せ場を作り、それ以外は
ドラマを語る時間に費やしている。かといって、中だるむということはなく、アクション抑えめな代わりに、唐突に列車が
突っ込んでくる等のショックシーンが盛り込まれていたりと、何かと飽きさせない。
思えば、昔のアクション映画の作りはだいたいこんなもんだったと思う。始まりから終わりまで間断なくアクションが続く
なんてことはなかったよ、ボンド映画だって。サム・メンデスは、あの当時のアクション映画の感覚を、今に持ち込みたい
のかもしれない。と感じた。


画作りの点で言うと、久しぶりに「ボンド映画らしさ」を味わった。全体的に上品で格調高い画づくりをしていたと思う。
特にマカオでのリッチでゴージャスな画。まさしく「空が落ちてくる」ようなスカイフォールでの重苦しい画。
その画の中に納まったアストンマーティンやオメガやトム・フォードのスーツから、最近のボンド映画では味わったことのない
男のフェティシズムが漂ってきて、感動した。ボンドを演じるダニエル・クレイグも画に全く負けておらず、とにかくかっちょいい。
顔の造作云々ではなく、男の色気漂う佇まいで、オーラが画面から伝わってきた。
また、襲撃されたMI6本部を、なんとロンドンの廃地下鉄へと移転していたが、これも歴史ある街の都市伝説のようで、
非常に興味を引く展開と期待を裏切らない画作りをしていた。


物語としては、確かに今回のボンドは冒頭いきなりポシャるわ、復帰しても本調子じゃないわで、任務遂行してないし、
スパイ映画ではなかった(笑)。でも、その代りに今回の悪役・シルヴァが強烈だった。スケールやインパクトではなく精神が。
なんなんだ、あいつは(笑)。! シルヴァは、元MI6でMの部下だった。非常に優秀なエージェントだったが、Mに見捨てられた
ことから彼女に憎しみを抱き、復讐の為に一連の事件を起こしていた。
ここまでは分かりやすいのだが、シルヴァのMに対する強すぎる執着心を見ると、もはや憎しみというよりも「歪んだ愛」に
近いんじゃないかとさえ思えてくる。母親の愛情を追い求める子供のようなものか?それをMに求めること自体大間違いだし、
冷徹なMとはすれ違ったまま。そう考えてみれば、ボンドに接近したのも、彼がMI6きってのエージェントだからなのかも
しれないし、極秘任務で潜伏していたMI6の身元を暴いて殺させたのも、彼らが優秀なエージェントでMに認められていたから
なのではないかと、穿った見方をしてしまう。
シルヴァ本人は、そのことに最初は気付いていなかったと思う。でも、ボンドに散々邪魔されて、クタクタになってMを
追いかけているうちに、自分を駆り立てる憎しみの感情に疲れ果ててしまった。そして、最後に教会でMを見つけた時、
ようやく自分が本当は何をしたかったのか、分かってしまったのでは。シルヴァはさ、Mと一緒に死にたかったんだろうね。
Mをただ殺すだけではない。誰にも邪魔されず、一緒に死んで自分の憎しみと執着を終わらせたかった。
でも、残念ながらそうはならず、Mと最後まで一緒にいられるのは、もちろんボンドなわけだけど。
や、とにかく、このシルヴァは色々と面白すぎ。敵役なのになかなか登場せず、かと思ったら、顔も判別できないほどに離れた
向こう側から、延々と小噺をかまして歩み寄る登場シーン等、今回の悪役はホントに異色だった。


また、本作は生誕50周年ということで、過去のシリーズネタもふんだんに盛り込み、ジェームズ・ボンド、ひいては007シリーズの
「過去とこれから」というテーマにも果敢に踏み込んでいた。本当の意味での原点回帰が出来たのではないかと思う。
や、むしろ「先祖がえり」と言った方が正しいかも。なにしろ、彼が○になって、彼女が○○○○○○になるのだから(笑)。
新Qはまだ若いお茶目さんになっていて、面白かった。これで一つの時間が終わり、見たことのあるような、でも違う時系列へと
導かれたかに見えるラストが秀逸。50周年を飾るに相応しい作品だった。大満足。(クーラン)