夕飯

ということで今日の夕飯

  • ハンバーグ(サラダ付け合せ)
  • 厚揚げの野菜あんかけ(えのきだけ・白菜・人参・長葱・オクラ)
  • ツナポテサラダ(ピーマン・パプリカ・キュウリ)
  • ワカメと玉葱の味噌汁


★「ゴーイング マイ ホーム」最終回鑑賞。
〈あらすじ〉栄輔(夏八木勲)の葬儀が営まれ、良多(阿部寛)の同級生など懐かしい顔ぶれが集まる。「親父さんとは仲直り
できたのか?」と問われ「ケンカしてたわけじゃない」と答える良多。しかし、父との間に何か言葉にならぬ物がつっかえた
ままな事を感じる。沙江(山口智子)は栄輔との約束どおり精進料理を作り、萌江(蒔田彩珠)と時子(りりィ)はそれを手伝う。
良多が棺の中をのぞいてみると、栄輔が大きく口を開けているのに気づく。良多は父との絆をとり戻すことができるのか。


殆どが葬儀のシーンなんだけど、ほんわかしたり、クスッとしたり、物悲しくなったりと、感情の揺れを穏やかに描いていて
いかにも、この作品の最終回らしい出来栄えだった。
沙江に手伝いを許されて、いそいそと台所に立つ時子の姿が印象的だった。ホントはずっとこうやって娘と台所に立ちたかったの
かもしれない。教わる方なので立場は逆だけど(笑)、それでも時子には嬉しいことなんだなあ。こうやって三世代で台所に立って
料理を作ったというのは、それぞれにとってきっと良い思い出になるし、その記憶は、ある意味「おふくろの味」と同義語と
なるのではないだろうか。


「栄輔は故郷に帰りたがっていたのだろうか?」と問う敏子(吉行和子)に、「そんなことはない。栄輔は死ぬ時は、この家で、
家族のそばでと言っていた」と治(西田敏行)は答える。治の言葉に重ねて「ここで、奥さんのそばで死ねて、満足だったんじゃ
ないでしょうか」と言う菜穂が、少し意外だった。そういった見え透いた言葉で場を繕うことを嫌う人だと思っていた。
でも、今では菜穂にも分かるのだと思う。栄輔は確かに故郷に帰りたがっていたのかもしれない。でも、それを確かめる術はないし、
例え事実だったとしても栄輔のことを心から大切に思っていた妻にそれを告げる意味などない。栄輔はこの人達と最後まで家族でいた。
それが答えなのだ。敏子の憂いを優しく拭っていくような、穏やかな菜穂の笑顔が素敵だった。


棺の中で、開いている栄輔の口を閉じさせようと顔に触れた良多に、子供の頃の記憶が蘇る。父の膝に座り、ジョリジョリした
ヒゲの感触を面白がっていた手の平。一緒にテレビを見ている時は、いつも父の手に支えられていた自分の足。
あの時と同じヒゲが生えた頬に触れ、思わずむせび泣く良多。
「もっと色々と話しておけば良かった。後悔か。そこに愛があったってことなら、後悔も良かったかもしれない。」
良多の胸につっかえていたものは、自分は父親が大好きだったという事実なのかもしれない。
自分は父親に愛されていた。それがこんなにも嬉しいと思うほど、父親が大好きだった。
父との絆を取り戻したのではない。最初からそこにあった。そのことにようやく気付いたのだと思う。
夫の哀しみと喜びに、そっと寄り添う沙江の姿も印象的だった。


庭で萌江が目にしたものは、やっぱりクーナだったのかな?栄輔は彼らの友達だった?
あの音はその友達の魂を弔っていたのかもしれない。や、違うのかな?栄輔の魂は、死してクーナの世界に属したのかもしれない。
それを確かめる術はどこにもないのだけれど。死んだからといって、その人がいなくなるわけじゃない。誰かがどこかで思い出す限り、
その人は永遠に生き続ける。思い出すたびにその人と出会える。それはクーナの力を借りなくても出来る。
それも目には見えない何かなのだろう。
マンションの住人・林さんは、懲りずに良多をクリスマスイベントへと誘う。「必要ですよ。ここにもそういうの。」
そういうメンドクサイ関わりや関係性の先に、目には見えない確かな何かが存在していたりする。繋がりといってもいいかもしれない。
私たちの周りには、目には見えない何かが無数に存在する。それらを大切にしながら、日々を丁寧に過ごしていく。
そうした日々の先に幸せを感じとることが出来るのだと思う。


全体的には、クオリティが高く贅沢なドラマだったと思う。前半はドラマのストーリーとしては、物足りない感じもあったけれど、
馴染んでくるとそれがとても心地よかった。良多が、自然に目覚めて田舎に移住を決意するとか、そういった大仰な展開にならなくて、
本当に良かった(笑)。人が普通に暮らしていく中で起こる、なにげない心の動きを丁寧に描き、日々の積み重ねという、
目には見えない愛おしいものを映像に残してくれた。視聴率はいまいちだったらしいけど、作り手側もそれはある程度予想
していたと思う。そこを敢えてこの作品を送り出した志の高さを評価したい。ドラマでは、おそらくこういった作品には、
今後出会うことはないと思う。そういう意味で大変貴重な作品だった。そうそう、毎回ごはんがおいしそうで、涎垂らしてました(笑)。
(クーラン)