一人酒

この日は金曜だったのでオットは呑み会。私もゆっくり一人酒する。
ということで今日のつまみ


この日、内示が出てオットの異動が決まる。


★「最後から二番目の恋」第11回鑑賞。<あらすじ>千明(小泉今日子)と和平(中井貴一)は、顔を合わせると言い合いばかりする日々が続いていた。真平(坂口憲二)は
二人の関係を羨ましく思うが、千明の前だと、ぎこちなくなってしまう。離婚話が浮上した典子(飯島直子)と広行(浅野和之
夫婦の関係にも進展が。


いよいよ最終回。物凄く良い終わり方だった。タイトルの意味が沁みてきた。
真平は、千明と和平の関係を羨ましく思っているが、既に自分にもそういう相手が存在していることに気付いていない。
でも、ケンカする真平と知美(佐津川愛美)を見た千明と和平は、すぐに二人の間だけに漂う空気に気が付く。
「お互いモテキ終了って感じですねえ。」と穏やかな微笑みで、和平に語りかける千明が印象的だった。
年の功で?色々分かってしまうのが複雑な心境だろうけど、年を経ているから受け止められる範囲が広いとも言えるのかもしれない。
その直後、千明は真平に別れを切りだし、和平は知美に「もう二人きりでは会わない」と告げる。
二つの別れのシーンをセリフ無しで遠くから撮っているだけの演出が、余白を感じさせてとても良かった。大人っぽい演出だったと思う。
失恋を受け止める真平と知美も「恋愛ドラマ」らしからぬ冷静さで、ホッとした。


でも、ひょんなところで和平とかち合った千明は、本心を打ち明ける。
「これを逃したら、もう恋愛はないと思っていたから、真平という素敵な恋人がいるという状況を、自分はキープしていた。
こんな汚い自分が嫌になった。」
そんな千明に自分も同じだと告白する和平。
「困った顔をしながらはっきりしなかったのは、若くて可愛い子と付き合えるのが、やっぱり嬉しかったから。一緒にいると
楽しかったし、ああいう子といる未知の時間や世界にいる自分が面白かった。」
二人は「大人の分別」だけで別れたのではなかった。自分達の中の「大人の狡さ」に気付いたからだった。
異性とか、恋とか、分かったつもりでいたことが、年を増すごとに、どんどん分からなくなる。でも、分かったふりはしていたい。
分かったようなことは言いたい。その結果、いい年して、年下に甘えて傷つけて。私達は最低だ。
そう語る二人を見て「年をとるほど人は面倒くさくなっていくのか」と思った(笑)。と同時に、「大人になる」=「賢くなる」
ということではないのかもしれないと感じた。むしろ「ダメな部分」の方が、より見えてくる。
そして、自己嫌悪に陥ったり、見て見ぬふりをしたり、時には襟を正したりして、それでもなんとか日々を過ごしていく。
年をとるとは、結局そういうことなのかもしれない。


最後の千明のモノローグが心に沁みた。
「寂しくない大人なんていない。だからこそ、寂しさを埋める為に恋をするのはやめよう。月並みな言葉だけど、ちゃんと
生きてることが一番大事なんだ。人生って、自分の未来に恋することなのかもしれない。自分の未来に恋していれば、きっと
楽しく生きていける。人生へのまだ恋は終わらない。もし、これから誰かと恋をするとしたら、それを最後の恋だと思うのは
やめよう。次の恋は、最後から二番目の恋だ。」
このモノローグで、本作最大の謎だった「ドラマタイトルが指す意味」がようやく分かった。
最後から二番目の恋」とは、この物語で千明が誰かと繰り広げる恋愛を指したものでない。千明がこれからの人生や恋愛を
よりよく楽しむための「決意表明」だった。このドラマは、千明がその境地に至るまでの過程を描いた物語だったのだ。
そして、千明達登場人物は、最終回には皆「未来に恋している人」へと変貌を遂げていた。
本作は「人生への恋」を描いた作品だったのだ。この最後のオチには、ホントにしてやられた。というか、一本取られましたよ!
余談だが、16年前の作品で、本作同様小泉・中井のダブル主演、同じ岡田恵和脚本作品のドラマタイトルは「まだ恋は始まらない
だった。その岡田さんが、16年後の小泉今日子に、今度は「まだ恋は終わらない」と語らせ、その対象が「人生」というものに
変化したことにも、感慨深いものを感じる。というか、二度ギャフンと言わされた感じですわ(笑)。


全体的には、とにかく脚本の巧さに毎回感心しきりの作品だった。「45のラブコメなんて、楽しんでくれるのは少数派。」とか、
最終回でこの作品自体にツッコミを入れる大胆さ。実際、苦心していたのだろうけど、その分、作品への愛情が充分に伝わってきた。
キャストは、小泉今日子さんと中井貴一さんの二人がホントに巧くて、二人の会話に何度笑って泣いたことか(笑)。
和平が「男オバさんキャラ」になったのは、絶対中井さんの演技から最終的にそういう方向になったのだと思う(笑)。
他のキャストも皆ハマり役。双子役・内田有紀さんと坂口憲二さんの新境地を開いた演技は素晴らしかったと思う。
やさぐれ三人組の森口博子さんと渡辺真起子さんは、いい塩梅のクダけ加減と昭和加減がとても良かった。
脚本を十二分に表現した演出にも感動した。特に、最終回・長倉ファミリーWith千明のピクニックシーンの幸福感。
あの空気を感じた時、このダメな大人達が愛おしくて思わず涙ぐんだ。


ラスト。成り行きでキレ気味に告白?しあう千明と和平が、最後までイイ感じだったなあ〜。出来ればもっともっと見たかった。
大人の恋愛という「人生の春休み」を描いた作品。最後まで楽しませてもらいました。ありがとうございました。(クーラン)