休日

休日。この日は夕方から映画を観に行く。初めての映画館だったが、たいした距離ではないのに、電車の接続がイマイチで
思っていたより、結構時間がかかった。映画終了後、「インドネシア料理 スラバヤ」で軽く呑む。
ということで、今日のつまみ

テンペのフライドココナッツ和え、羊肉のサテ
「テンペ〜」はココナッツの甘辛・サクサクの炒めもの。不思議な味だった〜。

ひき肉たっぷりの揚げオムレツ、ナシ・ゴレン・スラバヤスタイル 
オムレツはボリュームたっぷりナシゴレンは結構ピリ辛だった。

ゆで野菜のガドガドサラダ  ピーナッツソース味のインドネシア独特のサラダ。
オットはビール、私はハイボールできめる


★この日観た映画は「しあわせのパン」(監督・脚本:三島有紀子)<あらすじ>りえさん(原田知世)と水縞くん(大泉洋)夫婦は、東京から北海道の月浦に引っ越し、パンカフェ「マーニ」を開店する。
夫が焼き上げたパンに合う料理を作るのは妻の担当で、いつも季節の食材をふんだんに使った料理がテーブルを彩る。
そんな「マーニ」には、其々事情を抱えた客達が訪れるものの、帰りには不思議とみんな心が軽くなっているのだった。


舞台は北海道のパンカフェ。主演が原田知世大泉洋と、女性客Getが確実な題材とキャスト。それに甘えず、どこまで
「映画らしい映画」を見せてくれるのかと、半信半疑で観に行ったが、それなりに楽しめた。
三島さんの初監督作品だが、ロケ地や衣装、色彩設計など、ヴィジュアルは、昔の宮崎アニメの世界観を連想させる。
それが分かれば、絵本の世界のような服を着て現れる登場人物達も、なんなく受け入れられるのではないかと思う。
一方、学校の給食用にもパンを焼いたり、バス停の真ん前にカフェがあったりと、客がまばらな「マー二」の営業が続いている条件も、
何気に設定されていて、現実との地続きもある程度感じさせる。
3つのオムニバスから為る物語だが、一番最初のエピソードが全く面白くかったので、「どうなることか」と正直ヒヤヒヤした。
しかし2話の、離婚して父子家庭になった親子のエピソードから、段々と良くなっていく。各々一人で哀しみを堪えようとする
父(光石研)と娘(八木優希)のけなげな姿に好感を持ったが、同時に危うさも感じてハラハラさせられる。しかし、りえさん夫婦の
さりげない心遣いで互いに向き合う二人。「ずっとお父さんと一緒に泣きたかった・・・」という娘のセリフの意味が胸に響いてきた。
第3話では、死ぬためにやってきた老夫婦役で、渡辺美佐子中村嘉葎雄が出演。「最後の最後まで変化し続ける事が出来る」
人間の可能性を、哀しみと希望を織り交ぜながら見せてくれた。完全に世代が異なる大御所の演技で、映画全体が引き締まっていた。
プロフェッショナルがいることで、映画の質が底上げされたと思う。若干残念なのは、ラスト近くの中村嘉葎雄の手紙。
個人的にはあれは読みあげない方が、却って映画的な余韻は高まったと思う。原田知世の涙と、番台に座る中村嘉葎雄の表情、
そこに至るまでの老夫婦の演技から、「マー二」で彼らが得た全ては理解できると思う。でも、あの手紙で語られた言葉は、
この監督がどうしても強く伝えたかったことなのだろうと理解した。
夫婦、親子、隣りあった人。この映画では、様々な人達がパンを分け合うシーンが何度も挿入される。互いを完全に理解したり、
同じになることは出来ないけれど、喜びも悲しみも分け合うことで、少しでも近づくことが、理解し合うことが出来るような気がする。
それは錯覚かもしれないけれど、そんな触れ合いが誰かを生かすこともあるのではないか。
控えめながら、この監督の伝えたいことは、常に画面に漂っていた。そのテの映画にありがちな「この感じ分かるよね」という
雰囲気だけが漂う作品にはなっていなかったと思う。
逆に、「大切なものは一つだけでいい」という、もう一つのテーマを語りきるところまではいっていなかったと感じた。
ダークサイドを抱えるりえさんを連れて月浦に移住した水縞くん。りえさんの苦しみを、敢えて描かないのなら、それでいい。
けれど、彼らが「たった一つの大切なもの」を手に入れるには、それと引き換えに様々なことを諦めなくてはならなかった筈だ。
彼らが失ったものと、替わりに得たものについて、もう少し掘り下げてほしかった。


俳優陣は主演の二人が素敵でした。特に、恐るべし原田知世(爆)! 年とらないのかと思うほど、お若く美しかったです。
「おひさま」以来の八木優希ちゃんとの共演も何気に嬉しかったなあ。
個人的にツボったのが、大橋のぞみちゃんのモノローグ。特別キレイな声だとか、巧いというわけではないんだけど、
彼女の育ちの良さが滲み出ていて、とっても和む声だった。この作品全体のトーンを型づくる重要な役回りだったと感じる。
ノローグの主の正体にもしてやられましたけどね。
敏腕プロデューサーが狙った「隠れた北海道の魅力」を伝える点にも、充分貢献していたと思います。(クーラン)