出崎統監督死去

アニメーション監督、出崎統(でざき・おさむ)氏がお亡くなりになった。享年67歳だったそうだ。

出崎氏と言えば、「ベルサイユのばら」、「エースをねらえ!」、「あしたのジョー」と日本の漫画史に金字塔を打ち立てた作品達を、
独自の解釈で再構築し、原作に引けをとらない傑作として世に送り出してきた鬼才。他にも、「ガンバの冒険」「宝島」等々
日本のアニメーションに影響を与えた作品は数限りない。
止め絵、繰り返しショット、画面分割、陰影強調、透過光、入射光等の技巧を用いた独自の演出は、登場人物の情熱・孤独・
寂寥を印象的に描き、見た者にはまるでトラウマのように深く記憶に刻み込まれてしまったと思う。
私は、特に「あしたのジョー2」や「ベルばら」の後半を見てると、今でも胸がシンとしてしまう。登場人物の情熱に圧倒されつつも、
どうしようもない哀しさや寂しい空気が漂う演出にいつも涙する。


遺作は「源氏物語千年紀 Genji」になるのかな。「あさきゆめみし」とのゴタゴタで話題になったが、蓋を開ければ、
出崎節が炸裂した紛れもない氏の作品となっていて、あれしか方法は無かったと思う。
還暦過ぎてもあんな「六の君」をもってくるあたり、その独自の世界観は全く衰えてはいなかった。
あれが遺作になるなら、もっと舐めるように画面や演出を堪能しておけばよかった。それが心残りです。
「今、見たい出崎作品は?」聞かれれば、敢えての「おにいさまへ・・・」を希望するかなあ。NHKで放映してくれないものか。
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出崎作品が傑作ばかりとは言わないが、ある時期、神がかっていたのは事実で、それに心を奪われて今に至る人は多いと思う。
67・・・。まだお若いのに! もっと作品を作り続けたかっただろう。私もそれを見たかった。本当に残念です。
ご冥福を改めてお祈り申し上げます。(クーラン)