「海月姫」初回感想

フジテレビノイタミナ枠の「海月姫」初回鑑賞。
〈あらすじ〉クラゲ命の女子・月海(CV: 花澤香菜)が暮らす男子禁制のアパート・天水館。
そこには三国志、枯れ専、和装&人形、鉄道と筋金入りのヲタ女子・自称「尼〜ず」が集まっていた。
ある日、月海はクラゲのピンチを救ってくれたお姫様系女子を部屋に泊めるが、
なんと彼女は女装男子・蔵之介(CV: 斎賀みつき)だった!


東村アキコさんの作品は「ママはテンパリスト」しか読んだことがなくて、原作は未読で臨んだのだけど、
ものすっごい面白かった。ヲタ道邁進していた若かりし頃に見たら、もっとのめりこんだと思う。
ていうか憧れてたな、「天水館」に。天水館の面々は、一昔前のヲタ女子という感じもしないではない
(最近のヲタ女子の方って皆オシャレだと思う)。でも、本当に濃くおもろく描かれていて、
皆を抱きしめたくなるほど好きになった。彼らに囲まれてホッとする月海の気持ちがよく分かる。
他人の集まりとして、各々が自分の深く狭い海を泳ぎながら、互いの存在・価値観は無条件に認められ
尊重される。夢のように楽しくて穏やかな環境。これって楽園。ユートピア


でも、楽園から一歩外に出れば、そこには「オタク女」という人間失格の烙印が・・・〈爆〉。
自分の得意分野をどんなに雄弁に語れても、世の荒波を泳ぐ時、そんなものは何の武器にもならない。
世間のステキ女子と我が身を引き比べて思わず肩を落とす月海。
「オシャレ人間」接近で石化する心理とか思い当たりすぎて笑えた。
言葉が通じない(と思い込んでいる)相手と、無理矢理コミュニケーションをとらなければならないこと
ほど、怖ろしいことがあるだろうか(笑)。当然キョドるから相手に不審感を与えたうえ、
漏れなく失笑も与える(と思い込んでいる)。だから、なるべく危険ゾーンには近づかない。
だって傷つきたくないから。ただね。このままが良いとはやっぱり思えないんだよね。
クララ(CV:諸星すみれ)の危機を救おうと、オシャレペット店員に果敢に話しかける月海。
確かに頑張ってるけど、客観的に見ればテンパリ過ぎの奇妙な人。そんなツッコミ視点も、
今なら本当によく分かる。ここを突き抜けたギャグとして落としていないところが
個人的に好感をもった(でもおもろかった)。


「楽園」に永遠に居座り続けることは果たして可能なのか?
「尼〜ず」の掟は「男を必要としない人生」なのだそうだ。
でも男云々というのは根本的な問題ではない(と思う)。
このまま世の中と立ち向かわず、自分と世界の折り合いをつけぬまま生きていくことは
果たして幸せなのか?既に月海に爆弾は投下されている。どう展開するのか、楽しみ。


そういえば、本作は史上初(?)の「本格腐女子漫画」ということだけど、微妙に意味が違うよな(笑)。(クーラン)