ビショップ=ヘンリクセンを想起した

フィルム風で映画の如き画質と奥行きのある構図、そして陰影の深い色調…と、
従来のNHK大河ドラマのあのセット然とした貧弱なイメージ
(それを伝統として良しとすることもあるが)の映像とは一線を画する「龍馬伝」。
昨日、お昼の再放送を見ていて思惟したこと。


未だ何者でもない龍馬(福山雅治)と弥太郎(香川照之)を一喝する
土佐藩参政吉田東洋を雄渾に演じている田中泯さん。
氏のそのたたずまいはランス・ヘンリクセンに似ていた。


刃(やいば)のような眼(まさに「眼光、人を射る」)、そのカリスマ性、更に、
遅咲きの名優としての地位などの共通項から田中さんに国籍の異なる米の個性派俳優の
面影を見てしまった。


舞踏家としての側面も併せ持つ田中さんと専らグロテスクな娯楽作の出演に精を出す
ヘンリクセンとは、素養が違うという意見もあるとは存じますが、私には、出演した
作品の規模や内容に拘わらず、その際立った個性に同様の畏敬の念を抱くのです。