リストランテ・パラディーゾ 総評

リストランテ・パラディーゾ」全話を見終わったので、今頃感想を。原作は既読。
サブカル系人気漫画家作品の初のアニメ化。
しかも紳士萌えという新たなジャンルを具現化するという難題もあり、色々と大変だっただろうが、
最後まで全く危なげなく作品を作り上げたと思う。


まず、当然というか基本のことだが、キャラがたっていた。
「カゼッタ・デッロルソ」のメンバーに色がつき、声がつき、動くことで、原作では感じ取れなかった
キャラのニュアンスや、立ち居振る舞いの美しさ、セリフの意味が立ち上ってきて、紳士萌えを
納得させる出来栄えになっていたと思う。原作とアニメで確実に二度美味しい作品になっていた。
原作を読んだ時はジジ(CV: 喜山茂雄)がお気に入り。
でも、アニメ版ではルチアーノ(CV: 立川三貴)の不器用な暖かさが大好きになった
(私も小言いわれてみたい・笑)。
意外だったのが、二コレッタ(CV:折笠富美子)。アニメ版の最終回でクラウディオ(CV: 山野井仁)の
ことで、ガブリエッラ(CV:渡辺美佐)に直談判をするシーン。
原作は普通に読んでたけど、アニメ版はなぜか少しイラッとした(笑)。
たぶん、アニメ版の方が彼女の若さやピュアな部分を如実に表現していたからだと思う。
くたびれたオバハンには、そのピュアだけど残酷な部分や正しすぎる部分が眩しかったのだろう(爆)。


絵は、とにかく背景や色彩設計が素晴らしく、原作とは違った趣きの、暖かい色彩の背景を使うことで、
逆にオノナツメ作品のエッセンス「大人のファンタジー」の世界を表現していたように感じた。
個人的に感動したのが各キャラクターの住んでいる部屋。
壁紙・ソファ・小物等がさりげなく、しかしセンス良く描かれていて驚かされた。
しかも各キャラクターに合わせ家具等きっちり設定している(であろう)にもかかわらず、決して「リスパラ」
の世界観を壊すような描き方はしていなかったところも感動した。


脚本は原作にほぼ忠実でありながら、「リスパラ」だけではなく「GENTE」の話も時系列を変えて
扱う構成で、そのせいか微妙なニュアンスの違いが面白かったと思う。
そんなに真正面から恋愛を描いてはいないんだけど、全体的にとても艶っぽい話になったのではと感じた。
酸いも甘いも噛み分けた紳士を描くのだから、当然といえば当然なのだが、これってアニメというか、
日本という土壌では表現しにくいジャンルなのでは、と個人的に思っていたので、驚かされましたね。
そのせいか、オルガ(CV:寺田はるひ)・二コレッタ母娘の和解が駆け足気味になってしまったのが
少し残念だったかも(注文多いな!)。


ひっそり始まってひっそり終わったという感があるのが残念ですが、オノ・ナツメ作品はアニメ化に
馴染まないのではないかという勝手な杞憂を払拭してくれました。
なにより「この店に行きて〜、食いて〜、ワイン呑みて〜」という気に毎回させてくれましたよ(笑)。
ていうか、毎回ギリギリしながら楽しみました!(クーラン)

GENTE  1 (Fx COMICS)

GENTE 1 (Fx COMICS)