「警官の血」感想

昨日、オットが昼寝から目覚めた後、録画していた、テレビ朝日ドラマスペシャ
「警官の血」(原作:佐々木譲 監督:鶴橋康夫)の後編を見る。原作は未読。
先日見た前編は結構面白かったが、後半は尻すぼみの感が・・・。


超簡単に感想

戦後の谷中の再現や、独自の秩序と混沌を併せ持つユートピア化した「上野公園」の描写等面白く
「つかみはバッチリ」。

父の後を継いで警官になるも、与えられた任務は、学生運動に「警察のスパイ」として潜入。
罪悪感に苦しみ、徐々に精神を病んでゆく民雄・・・。
最初から最後まで自分との闘いに苦しみ続ける民雄が痛々しく、演じる吉岡氏は迫真の演技。
個人的にはこの話が一番面白かった。

祖父、父の後を継いで警官に。
マル暴担当の凄腕刑事加賀屋(佐藤浩市)の部下になり、加賀谷と暴力団との癒着を探る「極秘任務」
に着く。次第に加賀谷のカリスマ性に惹かれていく和也だが・・・。
加賀谷と和也の関係性等は面白く、もっと突き詰めて欲しかった。
例えば、映画「NYPD15分署」(出演:チョウ・ユンファマーク・ウォールバーグ)みたいに。


あと、ラストの演出に少し違和感が。この終わり方は、
和也が、加賀谷のように法を逸脱しかけた「清濁併せのむ刑事」になりながら、それでも「人を蝕む悪」
を追い詰めなければ気が済まない。その本能こそが、祖父の代から脈々と流れる「警官の血」なのだ
と受け取ることが出来る。ならば大仰な音楽をかけ無理に感動的な終わり方にする必要はないのでは。
和也が背負った十字架を重苦しく描いた終わり方の方が良かったと思った。(個人的な意見です)


全編に亘ってカメラワークが素晴らしく、とても贅沢なドラマだなあと思いましたね。
あと、全体的に艶っぽい感もあって、骨太な漢の話に時折漂うエロい感覚も面白かったです。
豪華絢爛かつ意外性も感じられたキャスティングも充分楽しめた。
暴力団組長?役の平田満氏とか面白かったですね。
特に、齢四十を過ぎて裸王に返り咲いた椎名桔平氏を本当に尊敬致します。いや、凄かった。
(クーラン)