「フェイクシティ/ある男のルール」…穢れなきキアヌ(ちょっとネタバレあり)

フェイク シティ ある男のルール」日比谷みゆき座で鑑賞。フェイク シティ ある男のルール<特別編> [DVD]
主演はキアヌ・リーブス(44歳)。
共演はクリス・エヴァンス(27歳)。
この二人が刑事を演じるコンビ捜査もの。
特筆すべきは、二人が並んで写ってる時の違和感のなさ。
ひとまわり以上も歳が離れてるのに、同期のデカ仲間って感じのたたずまい。
キアヌはいくつになっても「凛とした青年」なのですね。


こうしたバディ・ムービーは、ドン・シーゲルが1968年に監督した「刑事マディガン」の昔から、
連綿と作られ続けており、ある種、伝統みたいなものが出来上がっていて、
近代的な街並み、夜の闇、裏通り、友情、裏切り、暴力、等々…に彩られた世界を描いていて、
傑作が少なくない。
本作もまさにその伝統に乗っ取っており悪くない出来。


冒頭、コリアン・ギャングを一網打尽にするアクション・シーンからデヴィッド・エアーの演出は
冴えており、対象を正確に捉えたカメラワーク
(最近のアクション映画はこれができていない作品が多い)
ダブル・タップの的確なシューティング、鮮烈な着弾効果…
硝煙と血の匂いが画面から伝わってくるよう。
ロスのうらぶれた風景を切り取ったガブリエル・ベリスタインの撮影も
ヤバい雰囲気を盛り上げています。


しかし、ともすれば暴力賛美ともとられかねない内容にもかかわらず、本作は不思議と不快感が
伴わないのは、前述のとおりのピュアなキアヌの存在感ゆえか。


フォレスト・ウィテカー扮する腐敗に満ちた警察署長が、配下にキアヌだけは引き込まなかったのも、
そんな彼だけは汚したくなかったからなのでは。