浪花の華 第七話感想

すでに八話も放映されているが、第七話「左近を救え」の感想をこっそりと(笑)。


〈あらすじ〉弓月王(宮内敦士)に「もう左近(栗山千明)には近づかないでほしい」と言われ、
章(窪田正孝)はひたすら勉学に励む日々を送っていた。
天游(蟹江敬三)のもとに刀傷を負った木綿問屋の手代・仙吉(浜口望海)が担ぎ込まれる。
章は傷に当てられた布が左近のものであることに気づき、事情を聞きだそうとするが、
同心・新井(梶原善)たちが仙吉を追って治療所に駆けつけ、仙吉は姿を消してしまう。
左近は大坂の木綿商いの事件を追ううちに、囚われの身になっていたのだった。
赤穂屋(芦屋小雁)から得た情報で必死に仙吉を探す章だが、ようやく見つけ出した小屋で
敵に襲われる。だが危機一髪で若狭(池内博之)が駆けつけ、二人は助かるが・・・。


いや〜、ぐっときた〜。章が少し男前に見えましたよ(泣)。
左近救出に向かう若狭に「俺も連れて行ってくれ!何と言っても着いていく!」と詰め寄る章。
竹光侍のへタレ章がここまで立派な男に・・・(泣)。
第二話で耕介(杉浦太陽)に「誰かに心底惚れたことがありますか?」と問われポカーンと
していた章が(笑)、ここでは我を忘れて食い下がる姿にグッときましたよ(笑)。


しかし、今回は左近と章の住む世界の違いがはっきりと二人の間に横たわり、章にとっては
苦しい回だったかもしれない。
囚われた左近が拷問にあっているかもしれないという状況にも、一向に動じない若狭に章は
「左近を可哀想だと思わないのか!」と喰ってかかる。
そんな章に若狭は「自分達は命令されてやっているわけではない。全て己の意志だ」と話す。
「江戸の将軍や京都の朝廷等の『主』を持たない大阪では、己が主。そんな大阪の理を守ることは、
自分達の誇りであり、その為なら命を賭けられる。」と諭す。


闇の世界に生きる者が胸に強く抱く哲学を聞き、言葉を失う章。
しかし、本当は理解したくないといった方が正しいのでは?とも思った。
というのも、章が目指す医者という仕事も、己を捨ててでも人を救おうとする気持がなければ、
勤まらないものだからだ。


ラスト近く、今度は左近に「どうしてそこまでするんだ?」と問いかける章に、彼女は
「それが私の仕事だからだ」と答える。
仕事と言われ、章も気が付いたのではないだろうか?
左近にとっては大阪の街、章にとっては患者の命、守るべきものが違っていても、
根本の精神は同じもの。そして、そのことに気が付かせてくれたのは、左近や師匠達なのだ。


しかし、だからこそ、それぞれが生きる世界の違いが段々と分かってきてもいるのだ。
左近は、彼女の前で初めて刀を振りかざした章に、
「お前に刀は似合わない。もう二度と刀を握らないと約束してくれ。」と語りかける。
立派な医者になるはずの章をつまらないことで危険な目に合せたくないと言う。
思えば、医者を目指して学問一筋、刀も握れない腰抜け侍の彼の生き方を最初に認めてくれたのも、
左近だった。このセリフは、その生き方を再度認め、貫くよう強く促す言葉に思える。


近い将来、沢山の人の命を救うことになるであろう章。
それは、章が正々堂々と明るい世界を生きることでもある。
しかし、その頃には章と左近の世界ははっきりと別れてしまっているに違いない。
そのことを左近は知っている。弓月王も若狭も思っているのだろう。
章も超えられない壁を感じたのではないか?
今まで、章が関わってきた人達の中には、自分ではどうにも出来ない運命を背負っている人達もいた。
今度は章と左近にそんな巡り会わせがやってくるのかもしれない。


ラストでは師匠に江戸行きを打診されてましたね。
淡い想いと迫りくる別れの予感がせめぎあっています。次回も期待大です。 (クーラン)