ありふれた奇跡 第3回

簡単に感想を。
第三話だが、仲間由紀恵演じる加奈の様子がいよいよ変だ。


冒頭、公園のベンチで翔太(加瀬亮)と話す加奈。
これはデートではなく「死のうとしたことのある人の会」なのだと勝手に命名
だから「好きだ」とか「綺麗だ」とかいう「男女のめんどくさいこと」はナシにしてもらいたいそうだ。
そんなご意見に無理やりテンション上げて賛同する翔太に、今度は「どうして死のうとしたの?」と
前フリもなくド直球な質問をかます加奈。
空気を読む、読まないどころの話ではございません。しかも、自分は「まだ話せない」のだそうだ。
結局翔太もこの時点では話せず、この日は終了。


後日、加奈の馴染みのスナックで「第二回 死のうとしたことのある人の会」が開催されるが、
今度は翔太に知らせず、藤本(陣内孝則)を参加させる。藤本も翔太が来る事を知らされておらず困惑。
実はアルコール中毒患者の施設を出て6ヶ月禁酒していた藤本だったのだが、事情を知らない加奈に
勧められ、酒を呑んでしまう。
泥酔した藤本を送るため一緒にタクシーに乗り込んだ翔太に、藤本は「彼女おかしいよ」と告げる。


後日、同じスナックで翔太と二人で会うが、酔っ払った彼女は「(死のうとした原因を)話そうとしたけど
やっぱり話せない」と言い、更には「好きなのかな?翔太が」と呟いて彼を動揺させる。
その後のメールでは「翔太さんの家に行きたい」と要望。
メールを見た翔太は「あ〜、わっかんねぇ〜!」と髪を掻き毟っていたが、私も繰り出される加奈の
不可解行動に呆然とした。


そう、この加奈って人。なんだかおかしいのだ。過去に何かあったのは確かだが今は謎。
家族や職場ではしっかり者の顔を見せてはいるが、翔太の前では情緒不安定だし無神経ともとれる
行動もとる。これが先天的なのか後天的なのかは分からない。
けれど、翔太のような人間を振り回すには充分だ。
しかも悪いことに、彼女は彼女なりに必死というか大真面目なのだ。
なので、なんだかとても危なっかしい。


思うに、この人不安なのではないだろうか?
自分が少し普通じゃなくなったことを何となく分かっていて、「克服した(と彼女は思っている)翔太」と
接することで、自分の普通じゃない部分と摺りあわせて「修正」しようとしているように見える。


しかし、私が正直一番驚いているのは、この「わけわかんない女性」である加奈を仲間由紀恵
演じていることなのだと思う。
仲間由紀恵といえば「ごくせん」や「功名が辻」等で強く正しい役を演じ、紅白の司会までも
堂々とこなす、いつ見ても画面に安定感を与える女優だった。
その先入観で本作も入ったし、第一話の加奈は「きちんとした女性」として見ていた。
しかし、第二話あたりから加奈にちょっとした違和感を感じ始め、この第三話に至っては、
「全然安心出来ない女性」として認識されてしまった。


行きつけのスナックにて翔太の前で酔っ払う加奈。
今にも崩れ落ちそうなその痛々しさ。まるで輪郭が緩んでしまったように見える。
いまだかつて、仲間由紀恵を見て、こんなに落ち着かない心地にさせられたことがあっただろうか?
加奈の色々な面を見出し戸惑う翔太と同じ気持ちを味わっているかのようだ。
脚本の山田太一氏は初めから、こちらのイメージを逆手にとって脚本を書いているとしか思えない。
その難役に挑んでいる仲間さんも役作りにかなり苦心されているとは思うが、喜んでください。
翔太と同じく、私も思いっきり術中に嵌ってます(爆)。  (クーラン)