悪夢探偵2

塚本晋也監督の作品はデビュー作「鉄男」からほぼリアルタイムで追いかけていたのですが、
ある時期から観るのをやめてしまいました。
タツヤ(BJC)が出てるんで「バレット・バレエ(2000)」までは観ていた。》


塚本氏の作品って、テーマ対する決着のつけかたが曖昧で、
結局、このひとは提示した問題について解答を出すことはおろか向き合おうともせず、
派手なヴィジュアル・エフェクトと音響で誤魔化しているような印象を常に抱いてしまって
それが遠のいた理由。


唯一「ヒルコ 妖怪ハンター (1991)」は、松竹富士というメジャー資本のなかでプログラム・ピクチャー
を作らされているぶん、シンプルにまとめようとしていて好感が持てました。(誰からも賛同を得られず)


そんな、ニガテな塚本監督の最新作「悪夢探偵2」をシネセゾン渋谷観た。


予告編見たら面白そうだったんだけれど、やはり変わってませんね。


松田龍平とか三浦由衣とか市川実和子とか、やたら目ヂカラのある俳優陣が、
意味深な芝居をしているので、なんとなく説得力を持ってしまうのだけれど
やはり、提示された問題は投げ出されたままだ。
(以下、ネタバレ)


悪夢探偵こと松田龍平が連日、怖い夢をみてうなされていたんだけど、
色々あって、怖い夢から解放されて、幸せな夢をみる。
だけど、そんな幸せな夢こそが、辛い現実を際立たせる悪夢だったという話。


なんですが…


龍平探偵の親(市川実和子)は幼少期に自殺していて、このことが、彼の人格形成に多大な影響を
与えているのだけれど、結局、主人公はこのトラウマを乗り越えていない。


また、サイドストーリーとして描かれるエピソード
女子高生雪絵(三浦由衣)の、イジメが原因で不登校になった同級生が夢にでてきて
不眠症になっている話。
これも、イジメに対する罪の意識が不眠症の原因なのか
イジメられた同級生の怨念が彼女を苦しめているのか
曖昧、且つ、どちらも解決していない。
女子高生雪絵は、母子家庭で、母親(内田春菊)が仕事中心で自分の相手をしてくれないことに
不満を感じていて、そうした家庭内のストレスが学校でのイジメに繋がっているのようなのだが、
母親は結局、娘に理解を示さないままだ。
イジメられた同級生も、笑顔でクラスメイトに迎えられるイメージが挿入されるが、
具体的に何がどう彼女の現実を変えたのか示されていない。


結局、家庭内の断絶もシリアスな学園生活も
絶望的な現実には、目を背けたままだ。


幸せな夢から覚めて、その先にある現実の何を描いたというのか?


やはり、塚本監督は変わってない!?(○)