【ネタバレ】ラスベガスをぶっつぶせ

 過日、有楽座でロバート・ルケティック監督作品「ラスベガスをぶっつぶせ」を観る。


Music From the Motion Picture 21
 学業優秀なマサチューセッツ工科大学の学生ベン
ジム・スタージェス)は、ハーバード大医学部への転入
を考えている。
 しかし、医学部は金がかかる。奨学生は狭き門だ。
 面接試験で語れる豊かな人生経験もない。
 ある日、ゼミの教授から秘密の数学サークルへ勧誘される。
 そこは、ブラックジャックのカード・カウンティングを習得、それをベガスのカジノで
実践することで大儲けを目論むサークルだった。
 悩んだ末ベンは、ハーバード大の入学金を稼ぐため、この誘いにのる。
 この誘いにのったことが、ベンの人生を大きく変えることになる…。


 少年の成長、青春の光と影がものすごくわかり易くまっとうに描かれている映画だね。
 例えばこんなシーンがある。
 裏サークルへの入部を決意した主人公、まず手始めにチャイナタウンのカジノへ出向く。
 このカジノというのが、裏通りの紫煙漂う怪しげな雰囲気の場所で、中には艶っぽいお姉
さんがいたりして期待と不安に胸がドキドキする。と、まさに少年が大人への階段を昇る
過程で、ちょっとワルぶった世界を覗いて、昨日と違う自分を認識しようとする、あの感じ。
 それを何のてらいもなく、ストレートに映像にしているのだ。

 
 更に、刺激的な友達が出来て毎日が楽しい青春真っ只中、憧れのクラス・メイトともいい関係
になって、べガスの高級ホテル屋上にあるクラブのナイト・パーティで大はしゃぎ
…って、これは青春映画によくある「海岸でみんなで花火」のハイ・グレード・バージョンで
しょう。


 しかし青春の輝きは一瞬のもの。


 やがて、教授の警告を無視し、自身の才能に溺れた主人公、やりすぎちゃって、カジノの
取締り(ローレンス・フィッシュバーン)にカードカウンティングがバレて痛めつけられ、
稼いだ金も没収される。


 こうなってくると、これは典型的なスポ根ものの様相をも呈し始める。
 コーチに、その才能を見出された主人公が、頂点に上り詰めるが、才能を過信しコーチを
無視。結果、手痛い洗礼を受け挫折、転落。反省した主人公、再びコーチのもとを訪ね、
栄光を目指す…もう梶原一騎そのまんまでしょう。


 この作品おいては、コーチたるケビン・スペイシーが人格者ではなく、銭ゲバパワハラ
教授なので、共に栄光を目指すとはいかなかったが…。


 往年の青春スポ根路線をべガスを舞台にゴージャス再現した作風に好感を持ってしまった。
(○)