片寄明人ソロライブ

一昨日、GREAT3の片寄明人氏のソロライブを観に行った。生片寄氏を見るのは昨年3月の
Chocolat & Akitoのライブを観て以来なので久し振りだった。
実はその時に感じた違和感をどうしても飲み下す事ができず、その後の御夫婦ライブには
行っていなかったのである。
ちなみにChocolat & Akitoは2枚のアルバムを出しているが、どちらも凄くいいです。
素晴らしいメロディの連発で聞いてて心地良い。
家でかけっぱなしにしている時もある位好きなのだが・・・。


というわけで、一昨日も多少の不安を抱きつつ現地に向かったわけです。
会場のCafe「SPUMA」に到着。
初めての場所で事前情報を一切入れずに行ったが、入って椅子テーブルが普通に設置して
あるのを見て今日は座って聴くのだと悟って感動する。そしてギターが一本のみ立てかけて
あるのを見て弾き語りだと知って更に感動。席も私的には最高の席をゲット。
早速一杯目を注文した。しかしこのCafeいいデスね。
食事も美味しいし、雰囲気もいいし落ち着けます。人間こういう時間も必要だよねと強く実感。
ライブ前に片寄氏が現れお客さんと談笑を始める。その姿をサカナにしながら飲み食いする私達。
いよいよライブが始まる。この日は門秀彦さん(絵描き)と渡辺太朗さん
(グラフィックデザイナー)のユニット(?)AOPとのSESSIONという形だった。
片寄氏が唄う後ろで門氏が絵を描いていく。こういう形のライブがあると聞いたことはあったが
参加するのは初めて。年寄りなので感覚的に付いていけるか疑問だったが何となく馴染めた。

HEY MISTER GIRL!

HEY MISTER GIRL!

1曲目ソロアルバムの「MADONNA49」から始まる。
久し振りの片寄氏の生唄に感情がいきなり臨界点に!!
ライブは特に曲数も順番も決めず、なんとお客さんのリクエストに応えて唄っていた。
こんな贅沢な事があっていいのか!皆さん遠慮ナシにリクエストしまくりでした。
ところで、ライブは本当にアコギ一本の弾き語りだったが、私自身は片寄氏がサポートなしの
一人だけで弾き語るのを観たのは初めてだった。そしてこれが破壊的に良かった。
音数が極限に減った事によりメロディの素晴らしさが際立ち、声と歌詞が作り出す世界が濃厚
に立ち上ってくる。口ずさめるほど覚えているはずの歌詞がまたもや胸に突き刺ささり、
私は込み上げてくる涙を何度もこらえた。
Great3の音楽って甘さが無い。甘い声に騙されそうになるが、簡単に気持ち良くなんか
させてくれないし、入ったその世界はなんだかどろりとしていてひどく苦い。
それを片寄氏は一人で表現していた。
たぶん本人は気が付いていなかっただろうが、唄っている顔が段々鬼気迫る表情になり、
音も凄いグルーヴを醸し出していた。何というか男のROCKだった。
アコギ弾き語りでこれだけROCKを表現できる人もそうそういないのではないか?
その時「ああ、Chocolat & Akitoのライブで感じた違和感はこれだったんだなあ」
と唐突に理解した。
このグルーヴが無かったからなのだと。当然だ。あれはデュオ二人の音楽で別物なのだから。
頭で分っていても感覚で理解していなかったことに気が付いた。
そしてそれを無自覚に求めていた自分にも。
当たり前のことだったのになあ。
Romance

Romance

ライブの最中、片寄氏が「今日、誰も来てくれないかと思っていた」とポツリと言っていた。
そんなことあるはずがない。私にとってGREAT3は特別なバンドだ。
何にもなれずに自分を生き続けなけれならない絶望と不安そして孤独、それに伴い生じる
どうしようもないつらさ、悲しみ、あきらめの感情。それらは気付かなくてもよいものだ。
むしろ気付かない方が美しく優しい人生をおくれるだろう。
でも気付いてしまった人はそれを咀嚼して胸の奥に注意深く抱え込んで生きるしかない。
けれど、理解しあえなくても、悲しみの連続でもこの世界で自分の人生をまっとうすることは
何か意味があるに違いない。彼らの音楽を聴くといつもそう感じる。
もちろん、分りやすくそんな事を語っているわけではない
(そんな甘っちょろい方々ではありません)。
私が勝手にそう感じる。でも音楽を聞いてそう思わせてくれたのは彼らだけだ。


片寄氏の弾き語るソロライブは最高だった。私の人生から彼らの音楽が出ていくことはない
と強く実感した。
でも、やっぱり3人の音が聞きたい。1人だけでは表現出来ない曲もある。
彼らが作り出す「3つ揃ってはじめてわかるトリプルメロディー」を聞きたいのだ。
どうしても!
GREAT3の一刻も早い活動再開を希望します!


以下テキトーなセットリストです。
1.MADDNNA49
2.Sabbath
3.日陰 
4.Ⅰ Believe In You
5.マイクロ・マシーン 
6.Last Song
7.ビーチボール 
8.Under the Dog
9.Bee
10.玉突き 
11.Nostalgia
12.Oh!Baby
13.ナツマチ 
途中、ロッテンハッツから1曲やってました(曲名忘れてしまった)。
順番も定かではありませんし、抜けてる曲もあるかもです。
 

ライブ終了後も片寄氏はお客さんと談笑していた。私達もサインを貰いたかったのですが、
勇気がなくて近寄れませんでした(泣)。なかなか出来ないもんですねえ。 (クーラン)