お土産

日中、映画を観に行く。帰りに見かけたケーキが美味しそうだったので買って帰宅。

サバランとチョコレートケーキ。サバランを食べたオットが「とっても美味しい!」と言っていた。


★「図書館戦争」鑑賞。(原作:有川浩、監督:佐藤信介、出演:岡田准一榮倉奈々)
〈あらすじ〉国家によるメディアの検閲が正当化された日本を舞台に、良書を守るため戦う自衛組織「図書隊」の若者達の
成長や恋を描く。あらゆるメディアを取り締まる「メディア良化法」が施行され30年が過ぎた正化31年。図書隊に救われ、
強い憧れを抱いて図書隊に入った笠原郁は、鬼教官・堂上篤の厳しい指導を受け、女性隊員として初めて図書特殊部隊に配属される。


原作既読。テレビアニメ版やコミカライズ版も鑑賞しているが、それらと比べても、この実写版はかなり出来が良いと思った。


正直、観る前は不安だった。予め戦争開始時刻と終了時刻を決め、(あくまでも)建前上、殺傷目的での暴力はナシ。
正直、「ごっこ」ともとられかねない特殊な「戦争」が日常的に行われているという世界を、実写で成立させるのは難しいと
思っていたからだ。けれど、意外に大丈夫でしたよ、これが(笑)。冒頭、80年代に行われた「メディア規制論争」の映像から始まり、
そこから「メディア良化法」が施行され、長い時間をかけて言論・思想統制へと突き進んでいったパラレルワールド
「正化という時代の日本」を浮かび上がらせる。私達から見れば「ありえない世界」。でも、どこかで間違えば、こうなっていた
かもしれない世界。そんな背筋がぞっとする設定をコンパクトに紹介していて、効果的に映画の世界に誘っていた。
実際、検閲の名の下、不当に取り締まられ、時には燃やされる書籍の山を実写で観ると、激しいショックを受ける。
こういった描写を実写で観ると、フィクションだと分かってはいても、恐怖や拒絶反応が現実と地続きの感覚で感じられる。
それを受けて、この世界での「図書館」とは、単なる図書等の保管、提供等を行う施設というだけではないことが分かってくる。
ここでいう「図書館」とは、表現の自由、思想の自由の象徴であり、図書館を守ることは、人間の精神の自由を守ることと
同意義なのだ。その理念を守る為、「特殊な戦争」が行われているということが、しっかりと説明されている。理想を掲げて
図書館を守る図書隊員の日常も、活き活きと描かれていて、好感を持った。


キャストはホントに原作のイメージ通り。榮倉さんの笠原郁はピュアで乙女で、でもガタイが良くて、柔道の飛び蹴りは
分かっちゃいても爆笑した。岡田さんの堂上教官のツンデレ(殆どがツン)には、イチイチ胸キュンでしたよ、
ていうか、教官の背中広いっす。あの背中には惚れるわ。
そういえば、実写版では、稲嶺が「日野の悪夢」で殉職したことになっていて、とても驚いたが、存命中の稲嶺として写真に
写っていたのが児玉清さんで、胸にジンくるものが・・・。稲嶺のモデルが児玉さんだというのは有名な話だし、実際対談も
している原作者にとって、児玉さん以外の稲嶺は見たくなかったのだなと思う。エンドロールでも、一俳優として、児玉さんの
名前がクレジットされていて、思わず涙してしまった。


脚本も原作のエピソードをかなり巧くまとめていた。オリジナル部分も巧く機能していた。確かに、他に見たいエピソードも
あったが、映画をあれ以上長くするのは得策ではなかったと思う。
その分、戦闘シーンを削ればよかった。という考え方もあるのだろうが、私はあれで良かったと感じた。
というのも、この映画における佐藤監督の目標の一つが、本作を戦争映画として成立させたい。ということだと感じたからだ。
日本では、現在、娯楽作として戦争映画が作られることは殆どないのではないかと思う。
軍服を着た日本人が戦闘するという内容を、胸躍るエンターテイメントとして楽しませるというのは、かなりハードルが高い。
その数少ないチャンスを、佐藤監督はモノにしていたと思う。とにかく、戦闘シーンの迫力たるやなかった。
弾数だけでもハンパない。昨今の邦画では、かつてないくらいの弾を使用したのではないか。いわゆるガンアクションではない、
軍隊としての銃撃シーンの応酬なので、単調に感じる人もいたかもしれないが、個人的には大興奮した。
その後の、岡田さんの肉弾戦で、華麗なるアクションシーンも楽しむ事が出来て、2度美味しいアクションシーンになっていた。


と、同時にですね。本作は、特殊な形式とは言え、国内で二つの軍隊が闘いあう、いわゆる内戦を描いているわけで、現代兵器を
用いた日本の内戦という実写映像を、初めて目の当たりにして、フィクションとはいえ、複雑な想いにもなった。
同じ国民が銃を向けあうなんて、やはりダメですよねえ。
正化の時代に生きる笠原郁は「どうして、こんな世の中になってしまったんだろう」と泣く。
そんな笠原に、「無関心だった我々大人の責任だ」と答える仁科(石坂浩二)。
我々の未来も、一歩間違えば、こんな世界になってしまうのかもしれない。そう考えると、様々な事象から目を背けず、
しっかり見て自分の頭で考えなければ。と強く思わされた。そういった意味でも実写化する意義があったのかなと思う。
ブコメとしても最高でした。続編を希望。(クーラン)