GW後半 二日目

この日は夕方から映画を観に行く。開映前に日高屋で食事。
ということで今日の夕飯

生姜焼き定食(オット)、黒酢冷やし中華(私) 私はハイボールできめる。オットは呑まず。


★「藁の盾」鑑賞。
ビー・バップ・ハイスクール」で知られる漫画家・きうちかずひろの小説家としてのデビュー作品を、三池崇史監督が映画化。
凶悪殺人犯に10億円の懸賞金がかかり、犯人を移送することになった刑事達の緊迫した道程をスリリングに描く。


三池崇史は、いわゆる話題作を異常に量産し続ける監督だが、話題性が先行し過ぎて、こちらの期待値が大きくなり過ぎ、
実際見てみると「・・・。」という感覚に陥ることもある。しかし、本作はこの監督が久々に放った渾身の一作といえると思う。
(以下、ネタバレ)
少女惨殺犯の清丸(藤原竜也)と、そんな人間のクズを護衛するSP銘苅(大沢たかお)をはじめとする警察組織の人間模様と
緊迫した道程が描かれる。
護衛する警察官達は、それぞれの信念のもとに葛藤し行動するが、それがことごとく悲劇へと導かれる容赦のない展開で、
異常な状況下で徐々に人間性が焙り出されていく様子に、目が釘付けになった。
特に銘苅と清丸の人物造形が秀逸。清丸は、幼女に欲情したり、母への想いに涙したり、暴力性を剥き出しにしたりと、
その場その場で噴き出す自己中心的な感情に忠実なため、その言動には脈絡がなく、護衛する警察官達の心を荒ませる。
白岩(松嶋菜々子)を襲撃した理由は、原作と変えているそうだが、映画版の理由の方が、清丸の異常性をより感じられると思う。
ラストに、澄んだ目で殺人衝動を語る清丸を見て、どうしようもない「救われなさ」というものを強く感じた。
対する銘苅は、任務として清丸の護衛を遂行しようとする姿勢を貫ぬく。人間のクズを、冷静かつ忍耐強く護衛し続ける銘苅の
キャラクターが、この狂気の物語を引っ張っていくという構造が何とも言えず皮肉。
それ故に、クライマックスで語られた銘苅の真実の叫びが、強く胸を打つ。
演じる大沢たかお藤原竜也の演技があまりにも突出し過ぎていて、周りが若干かすむぐらいだった。


原作者の木内一裕は、傑作「鉄と鉛」を撮った映画監督でもあるので、本当は本作を自分で監督したかっただろう
(実際パンフレットのインタビューでもそう答えていた)。そんな原作者の思いを受け、この作品を社会派だけではなく、
エンターテイメントとして成立させた三池崇史は、さすがの剛腕だった。
ただ「面白かった」だけではなく、観終わった後に、色々なことを考えさせられ語り合える作品になったと思う。