休日

この日は、夕方から映画を観に出掛ける。上映前に「せんば自由軒グリル」で食事。
ということで今日の夕飯

カツカレー(オット)、キーマカレー(私) スープサラダセット。私は白ワインできめる。オットは呑まず。


★「人生の特等席」鑑賞。
(監督;ロバート・ロレンツ 出演:クリント・イーストウッドエイミー・アダムスジャスティン・ティンバーレイク
〈あらすじ〉大リーグの伝説的なスカウトとして知られるガスは、年による視力の衰えを隠せず、その手腕に球団フロントも
疑問を抱き始める。苦しい立場のガスを、離れて暮らしていた一人娘のミッキーが手助けすることに。
父と娘が対峙することにより、秘められた過去と真実が明らかになる。


グラン・トリノ」以来4年ぶりの、クリント・イーストウッド主演作。
イーストウッドの演技で、心温まりしみじみと泣きたい。という期待を持って観に行った。
がしかし、しみじみとしたものの、意外にも泣けなかった。


作品の全体的なトーンとして、割とザックリしたストーリーを落ち着いたテンポで撮り上げている。感覚的には二昔前の
ハートウォーミング・ストーリーを連想させる仕上がりで、この感じは体に染みついているので、個人的には好感を持った。
ただ如何せん上映時間が長い。このテの作品は、ユーモアとウィットをまぶしながらテーマを語っていくもので、エピソードを
濃密に絞り込んでいる分、コンパクトに仕上がるはずだ。
その点で本作は、上映時間が長い分、各エピソードの纏まりが悪く、もっさりした印象になってしまった。
また、もっさりした印象を与えるもう一つの要因として、ユーモアやウィットがうまく発動していないと感じた。
本作の前のイーストウッド主演作である「グラン・トリノ」は、イーストウッド自身が監督していることもあって、
主人公の老いの現実や悲哀を、時にはシニカルに表現して笑いを誘い、その分クライマックスは感動的に盛り上げていた。
その点、本作はイーストウッド唯一の弟子と言われる人が監督をしているせいか、イーストウッドの老いや悲哀の演技で
笑わせることに遠慮があるようで、ユーモアやウィットにまで転じきれていない。その為、主人公の衰えの表現が出るたびに、
笑うべきなのか、心を痛めるべきなのか、終始微妙な空気が漂っていた。


長尺なうえ、エピソードの纏まりが悪く、ユーモアとウィットの演出も甘いとなると、ストーリーに集中せざるを得なくなるのだが、
その根本的なストーリーにも疑問を感じてしまった。いくら伝説的だろうが、失明寸前のスカウトマンなんてムリだろうし、
対抗馬にしたって、データ重視で球場に一度も足を運ばないスカウトマンなんて論外だろう。人間(の五感)対コンピューターという
対立図式は、勧善懲悪で分かりやすいという点ではよいのだが、あまりにも単純というか、その設定が極端すぎる。


しかしである。濃密なエピソードを重ね、ユーモアとウィットをまぶした演出で、観客の感情の波をコントロールすれば、
実はこういったツッコミどころは、大して気にはならないものなのだ。
その点を含め、色々と気になってしまったということは、全体的に大味だったのかなと思う。
志は高いのだが、脚本・演出共に目指す領域に達していないと感じた。
俳優陣の演技は、どれもが素晴らしかった。しみじみさせられた。イーストウッドの演技は大画面で観る価値があった。
エイミー・アダムスジャスティン・ティンバーレイクの演技も素晴らしかった。ジョン・グッドマンを始め、スクリーンで
久々にお目にかかれた人が何人もいて嬉しかった。そういう意味で観に行った甲斐はあったと思う。(クーラン)