突然の休み

この日は、オットが休みを取る。午後から映画を見に行く。

映画館に行く途中で出会ったイカ。良く出来てるなあ〜。ゆるキャラとリアルイカの絶妙な融合加減がイイ!(笑)
開映前まで時間があったので、「らーめん専門店 ぶぶか」で食事。
ということで今日の夕飯

とんこつラーメン(オット)、塩麹油そば(私)   

ミニチューシュー丼、餃子、アイス(デザート)   私はハイボールできめる。オットは呑まず


★「悪の教典」鑑賞。(原作:貴志祐介 監督:三池崇史 出演:伊藤英明二階堂ふみ染谷将太林遣都山田孝之吹越満)。
〈あらすじ〉生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実は、表向きの顔とは別に、他人への共感能力を
持ち合わせない、生まれながらのサイコパス反社会性人格障害)という隠された顔があった。いじめ、モンスターペアレンツ
セクハラ、淫行等問題だらけの学校で、自らの目的を達するため、蓮実は躊躇なく殺人を繰り返していく。しかし、些細な
ミスを犯してしまった蓮実は、それを隠匿する為、クラスの生徒全員を惨殺することを決める。


三池監督作品を観るのは久しぶり。完璧とはいかないが、面白く作ってあったと思う。
クライマックスは、学校に閉じ込めた生徒達を、蓮実が射殺していくところになると思うのだが、正直に言えば、この辺りの
見せ方はそんなに巧くはないと思う。ショットガンを撃ちまくるだけなので、殺し方は単調だし、蓮実が強すぎるのでサスペンスの
演出も今一つ盛り上がらない。殺される方もキャラ立ちしていない生徒が多いので、こちらが「助かってほしい」という感情を
乗せきれないまま終わってしまう。なので、本作をパニック映画・サバイバル映画として考えたら、物凄く良い出来という
わけではないと思う。
それならどこが面白かったかというと、これまで蓮実が経験してきた出来事や、現在進行形で起こっている事象、それに対応する
蓮実のふるまいを、意味深に丁寧に描き、「サイコパス」と言われる人の物の考え方や習性を、観客に客観的に理解できるように
していたことだと思う。元々脳に問題があるのか、生育環境が原因なのか、どちらにせよ、サイコパスは他人への共感能力を
持ち合わせない。しかし、社会には一見適応している。これはある意味擬態に近いものだと思う。捕食されない為に、周囲と
そっくりな姿をして、攻撃者から身を守る。蓮実の擬態ぶりは完璧で、だからこそ、彼が最重要視していることは、社会の中で
生き抜くことなのだと、何となく分かってくる。それを阻む障がいは、徹底的に排除する。共感能力がないので、他者の痛みも
理解出来なければ、命に対する畏れもない。その為、一度障がいと認識すれば、怖ろしくフラットに「殺す」という選択に振りきれる。
親だろうが、生徒だろうが、人間だろうが、鴉だろうが、殺すことに良心の呵責もなければ、躊躇もない。
蓮実という男の思考や行動を淡々と映していくことで、どうしてあの大虐殺へと繋がっていくのか、人間的には全く共感出来なくとも、
蓮実の思考回路だけは客観的に追っていくことができた。
蓮実の過去のエピソードで、快楽殺人者との関わりを描くことで、サイコパスとの違いを説明する展開も「なるほど」と思った。
蓮実は障がいを排除する手立てとして人も殺せるのであって、快楽の為に人を殺しているのではないのだ(だからなんだと
言われればその通りだが)。


正直、蓮実には全く共感できないし、後味の悪い作品だが、それでもやはり観て良かったと思う。
蓮実ほどとは言わないが、程度の差こそあれ、他人への共感能力を持ち合わせない人達がいるのは確かだろう。
一般常識では計り知れない、そういう人達の頭の中を、常識的な感覚を持つ監督が、突出した表現で我々にも分かるように、
教えてくれた。この世には、理解しがたい人間が確かにいる。それを提示することが、この作品の目的だったのではないかと思う。
この経験を生かして、「サイコパス」と出会ったら、わき目も振らずに逃げ出します(笑)。(クーラン)