一人酒

この日オットは呑み会。私も一人酒する。
ということで今日のつまみ

  • ワカメと水菜のナムル(一昨日の残り)
  • 厚揚げとあさりのガーリック蒸し(昨日の残り)
  • 冷奴  韓国焼酎「真露」できめる


★「37歳で医者になった僕」第10.11回鑑賞。
〈あらすじ〉祐太(草なぎ剛)らは、伊達(竜雷太)の急死の原因が佐伯(松平健)の医療ミスにあると疑い始める。
下田(八乙女光)は伊達の担当医として責任を取りたいと辞表を提出。祐太は佐伯から入院中のすず(ミムラ)を盾に取られ、
身動きが取れない。そんな中、佐伯の医学部長選挙の日がやってくる。


佐伯は実は癌だった。その事実を秘密裏に知った森下(田辺誠一)の表情が絶妙!
すずが祐太経由で瑞希水川あさみ)に手渡していた弁当は、彼女へのちょっとした牽制だったのね。瑞希の気持ちに、
やっぱり気づいていた。知らないのは祐太だけ(笑)。「イヤな女でしょ」とすずは言ってたけど、いえいえそんなことはありませんよ。
逆に好感度上がったわ。それだけ、祐太の周囲に目が行き届いてたというわけだし、ホントに彼のこと好きなのね。
でも、一人の女性として、そういう類の心配をする「普通」というのも、彼女にはなかったんだなと思うと、何ともいえない
気持ちになった。自分はもう永くないと悟っているすずは、だからこそ、祐太との日々を「普通」に過ごすことに、意義を
見出している。自分を盾に取られて、佐伯や森下に行動を起こせない祐太の状況を察し、転院したいと申し出る。
やりたいことを堪えている祐太は「普通」ではないと思ったからだ。彼らにとっての「普通」とは、正しいと思える今を生きる
ことなのだ。すずの体を考えると無茶なことなんだけど、彼女の意志を遂げさせようと思わず賛成する瑞希にもグッときた。
当然、患者の命を最優先しなければならない医師としてあってはならないことで、森下からは厳しく叱責される。
でも、同じ男性を愛した女性として、すずの願いがどれだけ切実なものなのか、瑞希にはよく分かるのだと思う。 
「優先させるのは、患者の命か、患者の意志か」 そこまで考えられるのは、彼らが患者と向き合えているからだと思った。
下田が医者を辞めず病院に戻ってホッとした。たくさんの患者を救うことは伊達に対する供養にもなるはず。
新田(斉藤工)が、そんな下田を温かい目で見ている姿にもちょっとだけウルッときた。


念願の医学部長就任直後に佐伯が倒れ、そして森下が動く! 佐伯をVIP病室に軟禁状態にすると、速攻、病状を周囲に公表。
あっというまに、医学部長代行の座に納まる。いやあ、森下の手際の良さといったら、ホントに凄かった。デキる男はやっぱり
違うのね。と思わされたわ。キングダムを作った目的は、森下の理想の医療の現場を作る為。早速、総合内科の改革案を
中島(鈴木浩介)と看護婦長・相澤(真飛聖)に提示するが、それは、患者にとっては理想的だが、病棟経営が立ち行かなくなりそうな
案で、森下の急進的な改革と有無を言わせぬ対応に、二人は不安を覚える。
充実感に浸る森下だが、「君が理想を追い求められたのは准教授だったから。政治の世界に身を置けば、それが許されないことが
すぐに分かる。君は理想が高い分、冷酷だ」と佐伯に言われ、不快感を覚える。森下が佐伯をあれほど嫌悪するのは、彼の言うことが
当たっているからだと思う。佐伯が未来の自分に見えたのかもしれない。病気が進行する佐伯をさっさとホスピスに追っ払おうとする。
しかし祐太は、今はこの病院の患者である以上、佐伯を治したいとホスピス送りに反対する。
「目の前にある命を助けようとしない時点で、森下先生は佐伯先生と変わらない」と断言され、顔色を変える森下。
見たくないものを排除しようとしたのに、逆にそれを突き付けられた。そんな心境だったのではないか。


肝心の佐伯にも、生きたいという意志が見受けられない。「癌でありながら、何故医学部長選に出馬したのか」という問いかけに
「大きなケーキが目の前にあるのに、それに手を伸ばさないバカがどこにいる」と佐伯は答えていた。佐伯の生き方を象徴する
言葉だと思う。上へ上へと懸命に見上げてきたのだろう。けれど、元々の佐伯は医療の現場を改革しようとしていた。
その思いを書き連ね伊達に送った手紙を、絶対に読もうとしなかった佐伯の気持ちがなんとなく理解出来る。
自分の生き方が間違っていたとは絶対に思いたくないし、後悔もしたくない。だから、上を目指せたのだ。
それなのに、医師の最高位を極める機会も失った今、生きる意味もない。どうせ先も永くないのだから、過去を振り返ったり、
自分を変えることに何の意味がある。そんな佐伯の嘆きが伝わってくる。
でも、どんな佐伯であっても、家族にとっては大切な人であることに変わりがないのだ。
そんな佐伯に、「医者だから佐伯に出来るだけのことをしたい。自分は医者を目指した時の気持を忘れていない」と祐太は訴える。
いつまでも青臭い祐太と話すうちに、「私が医者になったのは、大きなケーキを独り占めするためではなく、分け与えるため
だったんだな」と悟る佐伯。そんな佐伯に「これから分け与えればいい」と微笑む祐太。
「君と話していると、生きなければならない気持ちになる。でも58で新しい生き方をするのはしんどい」
けれど、目の前には、37歳で医者になった男がいる。自分を変えるのに、遅すぎるということはないのだ。


佐伯の意志を受けて治療に奔走する病職員達に感動した。特に森下は、遺恨を封じ、自らの暗黒面から脱却することが出来たのでは
ないかと思う。改革も、経営も、一人の力では出来ない。むしろ両極端にならない為には、大勢の人の手を借りなければならないのだ。
それを買って出る中島の男気?にもちょっと感動。森下と中島が並んで歩く姿は、理想と現実が共に手を取り合っているようで、
とてもいいシーンだった。
瑞希に言わせれば「青臭いというのは、若さの特権ではなく、自分を変えようとする人の特権」なのだそうだ。
病院を変える医師達の物語というよりも、祐太の青臭さが伝染して、気付いたら、自分を変えようとする医療スタッフや
患者、その集合体としての病院の物語となっていたのが、面白い展開だったと思う。
正直、祐太の全てに共感は出来なかったが、いつの間にか応援しているという、不思議なキャラクターだった。
じんわりとした感動と共感で観終わる事が出来ました。(クーラン)