休日

この日は映画を観に池袋に出かける。映画鑑賞後、「広東酒家らくらく」で軽く呑む。
ということで今日のつまみ

レバーペースト、青菜の塩炒め、イカの黒胡椒炒め

鶏のスティックフライ、中華丼  オットはビール、私はハイボールできめる


★池袋新文芸坐にて「男の顔は履歴書」(監督:加藤泰 出演:安藤昇菅原文太)鑑賞。  
安藤昇といえば、 新宿・安藤組伝説の元ヤクザ。その人主演で、このタイトルなので、てっきり安藤昇自身の履歴書的な映画、
つまり実録風の内容なのだろうと、勝手に想像していたが全然違った。
物語は、戦後の混乱期、闇市マーケットを巡る血で血を洗う凄まじい民族闘争が描かれる。復員医師・雨宮は、差別や対立を
誰よりも否定しながら、復讐の連鎖に否応なく呑みこまれていく。
役者としての安藤昇の演技は、時々「ん?」と感じる瞬間もあるのだが、なんといっても、目が死んでいるというか、
完全に覚めきっていて、底冷えのするような冷たい視線を投げかけてくる。それは、雨宮が抱く強烈な虚無感が形となったもので、
どうして、この人に雨宮を演じさせたのか、理解できた。


対立しあう組織は、どちらが善でどちらが悪ということはない。その為、復讐の連鎖が進むにつれ泥沼の様相を呈し、観ている者を
少しもすっきりさせてくれない。それが良かった。時系列も頻繁に変わり、過去・現在が入り乱れる。その都度、人間のエゴを
様々な側面から直視させられ、考えさせられた。冒頭から登場する「ある少女」が、実は、憎しみの連鎖を断ち切る一つの形として、
存在していたというオチに救われた。演出も、松竹映画らしい丁寧な演出で表現しているので、荒々しい世界を描きながらも
下品ではない。美術も何気に凝ったセット。脚本がやや説明的だが、この時代に作られた作品としては、かなりの意欲作だと思う。
内容的に、今後テレビ放映されることは絶対にないであろう作品なので、観られてラッキーだった。


奇しくも前日、本作で雨宮の恋人役を演じられていた中原早苗さんがお亡くなりになった。映画監督の故深作欣二氏の
御夫人でもある。本作では、愛し合っているのに、雨宮の虚無を埋めようとすればするほど、理解しあえない絶望に陥る女性を
熱演されていた。改めて、ご冥福をお祈りいたします。(クーラン)