休日

この日は夕方から詠歌を見に出かける。レイトショーだったので、車で出かける。映画の前に沖縄料理屋で食事を済ませた。
ということで今日の夕飯

豚丼(オット)&島ラー油つけ麺(私)  私は泡盛「瑞泉」できめる。


★「劇場版 SPEC 〜天〜」(監督:堤幸彦)鑑賞。<あらすじ>「ミショウ」の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)は、洋上のクルーザーで複数のミイラ化死体が発見された
事件を調べる。そこに死んだはずの一十一(神木隆之介)から、スペックホルダー抹殺計画を話し合う御前会議のメンバーを
皆殺しにする映像が届けられる。スペックホルダー逮捕のため公安部特務選任部が組織され、当麻と瀬文、瀬文の昔の恋人・
里子(栗山千明)らがメンバーに選ばれる。


「天」を見て勢いづいたので、興奮冷めやらぬうちに観てきました(笑)! 昔、映画「ケイゾク BeautifulDreamer」を観て、
愕然としたことがあったので、観る前は正直不安だったのだが、とりあえずは面白かった。
(以下、ネタバレ)
物語は益々謎が増えてくるのだけれど、演出自体は物凄く力が抜けているというか、ある意味、テレビの延長的な感じで、
今回はそれが巧くいっていたと思う。ただ、なかなか話が進まないので「?」と思っていたら、そうですか。更に続編アリですか(笑)。
しかも「欠」って・・・。「癸」「翔」「天」と来たら、そりゃ「決」がくるわな。


今回は暴走するスペックホルダーと警察との全面戦争が描かれる。新たなスペックホルダーとして、マダム陽&陰(浅野ゆう子)と
伊藤淳史(伊藤淳史)が現れる。自らもスペックホルダーであり、今は能力を封印した当麻は、スペックホルダーを超法規的に
抹殺しようとする警察組織にも憤りを覚える。そんな当麻に呼応するかのように、封印したはずの左手は暴走を始めていたのだった。
自分の信念や立ち位置に疑問を抱き苦悩する当麻に、「だからこそ、能力を使う者の資質が問われる」と説く野々村(竜雷太)の
言葉が印象的だった。力があろうがなかろうが、人間の資質というのは、その人が生きるどんな局面にでも関わってくると思う。
こういうセリフは「ケイゾク」にはなかったと思う。少しジンときた。


驚いたといえば、本作のニノマエはクローンだった。それを念頭に置くと、スペックホルダー「伊藤淳史」を本人が演じる
意味がよく分かる。ニノマエと伊藤淳史が世間話をするシーンがあるが、ここだけドキュメントやトーク番組のようなリアルな
空気が流れている。その演出の中で、これまでどんな人生を送ってきたか(おそらく事実)を淡々と語る伊藤淳史に対して、
クローンのニノマエには語るべき経験も思い出もない。なので、そこから生まれる「感情」というものも持ち合わせない。
感情がないので、他者の命や痛みに対して、どこまでも冷酷になれるが、それは、ニノマエの生き物としての存在感を軽くしている。
伊藤淳史との対比で、その違いが観る者に歴然とわかるようになっていた。生身の人間が発する当たり前の存在感を体現する者
として、確かに伊藤淳史は適役だったと思う。


物語は、向井くんによく似た(笑)「白い男」が登場。左手をかざし、ニノマエクローン軍団を一瞬のうちに消し去る。
神を思わせる人智を超えた存在が現れたことにより、次作の展開が全く分からなくなった。
瀬文と里子の子(であると思われる)のに、なぜか二人のDNAと一致しない娘は、キリストを連想させる。ていうか、瀬文は
大工のヨゼフか(笑)。
その「白い男」は、当麻のスペック発動を見て「ソロモンの鍵が目覚める時が来たか…」と呟き、ラストには「時の流れは
止められない。それができるのはソロモンの鍵だけだ」と語っていた。
「ソロモンの(小さな)鍵」って、悪魔とか霊的存在を召喚して使役出来る能力だったと思うんだけど(かなりざっくりした
記憶なので確信はない)、それはまさに当麻のスペックのことなのだろうか?
その当麻のスペックが左手に宿っているというのも、今となってはかなり意味深。というのも、ラストで語られたファティマの奇跡。
「あの二つの啓示の後、私たちはマリア様のそばに左手に火の剣を持った天使がいるのを見ました。その剣はみるみるうちに
火花を散らして燃え盛り、まるで世界を焼き滅ぼそうとしているかのように見えました」
「ところが、マリア様の右手が美しく光り輝くと、火の剣の炎は消えてしまったのです。そして、私たちはマリア様の光の中に、
第三の神の啓示を見たのです」
左手・・・。当麻のスペックが宿っているのも、「白い男」がかざしていたのも左手。
世界を焼き滅ぼすほどの強大な力を持つが、聖母の右手の前にはその威力を失くす。
ラスト間際で、右手で左手首を握った当麻がニヤリと笑ってたんだよなあ。もしかしたら、もう一つのスペックが発動したと
いうことなのかなあ。大体スペックが一人一つと決まっているわけじゃないしねえ。
そういえば、あの屋上で暴走した当麻の左手が召喚しようとしていたのは、誰だったのだろうか?


そして、ラストのあのシーンは一体・・・(笑)。おそらく「ファティマ第三の予言」が実現してしまったのだろうが、
猿の惑星」をパクリスペクトしたかのような、あの画ズラ(笑)。
ケイゾクの映画版を観た時は、「うる星やつら BeautifulDreamer」をやりたかったのだろうと思った(うまくいってなかったが)。
そして「SPEC」は、「猿の惑星」がやりたかったのか? それとも「エヴァンゲリオン」? 
とりあえず「欠」は、作る気満々だそうなので、完全な結末は次作に期待します。(クーラン)