「家政婦のミタ」初回鑑賞。

<あらすじ>三田(松嶋菜々子)は、頼まれた仕事は“何でも”完璧に遂行するスーパー家政婦。しかし、彼女は常に無表情で
全く感情が読み取れない。そんな彼女が派遣されたのが、阿須田家。
家長の恵一(長谷川博己)は、妻の凪子(大家由祐子)を事故で亡くしたばかり。4人の子供・結(忽那汐里)、翔(中川大志)、
海斗(綾部守人)、希衣(本田望結)は母の死にショックを受け、家族の心はバラバラ。家の中も荒れ放題だった。


遊川和彦脚本作品なので見てみたが、ドラマのツカミとしてまずまずの出来。
問題の阿須田家の描写が面白かった。母親に先立たれ、家はゴミ屋敷、食事はただ腹を満たすだけ。
4人の子供達はイライラしたり、我関せずだったりでまとまりがなく、並みの家庭生活を送るために協力しあうということがない。
特に、この家の父親は家長としての意識が低いように思われる。話題を探しあぐね「学校はどうだ?」と話をフルも、息子に
ハナであしらわれる恵一には失笑(「鈴木先生」なのに・笑)。家族を引っ張る強い父親というよりも、常に引き気味で子供に接し、
顔色を窺っているような父親。この人の家族との距離の取り方に、どうにも違和感を覚える。
子供達は気にしていないようなので、前からそうだったのだろうか?今まで子供達と父親の間を母親が取り持っていたのかもしれない。


この阿須田家に母親の仏壇と共に家政婦のミタがやってくる(偶然のタイミングだが)。
このミタさん、仕事は完璧なスーパー家政婦だが、壊滅的に愛想が悪い。ていうか、表情がない。「手が冷たい」という時点で、
サイボーグというオチなのか?と思ったほど。しかも彼女は「頼まれた仕事は“何でも”遂行する」らしい。
例えそれが人殺しであってもだ。早速、希衣の頼みで一緒に川に入水しようとしていた。かなりアブナい女性だ。
彼女が阿須田家に関わることで、この家族が抱える問題が浮き彫りになっていくと思われる。


今回は、母親を恋しがる希衣の感情が他の子供達に飛び火して、母親の死について其々が抱えていた負い目が吐き出される。
長女の結の嘆きには胸を衝かれた。
「これでも自分のこと結構いいお姉ちゃんだと思ってた。でもお母さんが死んでから、長女らしいことなんか何も出来ない。
もっと頑張んなくちゃって思うんだけど、無理なの。好きな写真だって、撮る気になれない」
この子がいつもイライラしていたのは、思い通りに動いてくれない家族にではなく、何も出来ない自分に対してだったのだ。
結自身も母親を亡くして気力が湧かない状態で、それでもなんとかやってみようとした。けれど、何一つまともに出来なかった。
仕方がない。結だって母親を亡くしたばかりの子供なのだ。長女だろうが一番上だろうが、辛いものは辛いのだ。
頑張り屋の結の涙に胸が痛んだ。


結に「母親の私物を燃やして」と言われ、忠実に火を点けるミタさん。止める翔に「だったら、アレも燃やせ!」と言われ、
今度は仏壇を炎に投げ入れる!! これまでの思い出も、これから母が入る場所も全て燃えていく。
仏壇の代わりに、綺麗になった棚に母の遺影をおいて話しかける子供達の姿が印象的だった。四十九日が済もうが、この姉弟は、
まだ母親のことに区切りはつけられない。今はまだそれで良いのだと思う。ムリして忘れる必要なんかない。平気なフリも
する必要はないと思う。


「お陰で、母親が死んで、ずっと心にためこんでた辛い思いを、子供達が吐き出すことが出来た」とミタに礼を言う恵一。
というか、本来それをするべきだったのは、父親の恵一ではないのか?他人事みたいな恵一の物言いが気になる。次回に期待。
(クーラン)