黒執事II 第八話

「吐露執事(とろしつじ)」やっと見た〜。
アロイス(CV:水樹奈々)が・・・。黒い展開だなあ。今回ついに明かされたアロイスの過去と真実。


シエル(CV:坂本真綾)に腹を刺されたアロイスは、命こそ助かったものの傷は塞がっていない。
クロード(CV:櫻井孝宏)の自分への関心が薄れているのを悟ったアロイスは
ハンナ(CV:平野綾)に、自分をシエルの元に連れて行けと命じる。
今、思うとこの時アロイスはシエルに会って何がしたかったのだろう。
悪魔に騙されていると忠告でもしたかったのか、もう一度決闘をしたかったのか。


回想でアロイスの過去が語られ、グレル(CV:福山潤)の登場で、この新坊ちゃんは
「アロイス・トランシー」の名を語る偽者だということが明かされる。
彼の本名は「ジム・マッケン」。ある村で弟・ルカと暮らしていたが、両親が亡くなると
村人達は兄弟に辛く当たる。その仕打ちがセリフだけとはいえちょっと酷すぎる。
「石をぶつける。家にゴミを投げ入れる。つばを吐きかける(しかも牧師)等々」。
意地悪というよりも殆ど迫害ではないか?どうして村人達はこの兄弟をここまで嫌うのか?
亡くなった彼らの両親の生業等が関係しているのだろうか。
それにこの兄弟が全く似ていないことも気になる。


兄弟は生きるためには盗みでも何でもやるようになり、当然村人達のことを憎悪する。
ある時我慢しきれなくなったアロイス(ジム)は「あいつらおっ死んじまえばいいんだ!」と叫ぶが、
それを聞いたルカは「スゴイおにいのお願いはすごい叶うんだよ」とはしゃいで、
「イエス・ユア・ハイネス」とふざけて跪く。
ところが、村に戻ると火が放たれ人々は全滅していた。それを無邪気に喜ぶ兄弟。
死が何であるかも分からないうちに憎悪の感情が先に植え付けられてしまったように感じて、
このシーンは哀しかった。しかもそのしっぺ返しはすぐにやってくる。
嬉々として死体から金品を剥ぎ取っていたアロイスは弟がいないことに気付くが、
ようやく見つけたルカは死んでいた。亡骸を抱きしめ「一人にしないで!」と叫ぶアロイス。


そこから数年が経過。身寄りのない少年達が集められトランシー伯爵の変態趣味の
供物として捧げられていた。その中に虚ろな目をしたアロイスが。
しかし、ここで不思議なのが、トランシー伯が一目見ただけでアロイスを毛嫌いするんだよね。
「薄汚れた腐った水のような目をしている」とか言って打ちすえる。
なぜ、この子はこんなにも嫌われたり蔑まれたりするのかね。
確かに生気の無い目をしてるけど綺麗な子なのに。なにかに呪われてるんじゃないの。


ある時仲間の少年から「願いを叶えてくれる妖精」の話を聞いたアロイスは興味本位で儀式を行うが、
出てきたのは妖精ではなく悪魔。それがクロードだった。
「願いは?」と聞かれても、自分に何の望みも無いことに気付くアロイス。
村人達が憎いが皆死んだ。ここを逃げ出しても行くところも無い。
アロイスの中の矛盾に興味を持ったクロードは願いが見つかった時に契約しようと約束する。
「願いを見つける。それまで俺の中に無かった、生きる為の目的。」
このセリフを聞くまで、アロイスは生き抜く為に悪魔と契約したと思っていたのだけど、
微妙に違うということに気付いた。ルカがいた頃は弟の為に生きていたが、その後の人生はアロイスに
とってどうでもいいものだったのだ。皮肉なことだが悪魔との約束が少年の生きる張り合いとなる。
体を使ってトランシー伯に取り入り、ついには「アロイス」としてトランシー家に納まる薄汚れた少年。


ここでクロードがある話を切り出す。
セバスチャン・ミカエリス(CV:小野大輔)という悪魔がとある人物と契約をして
アロイスの故郷を消去した。その人物の魂は既にセバスの腹の中。
現在セバスはシエル・ファントムハイヴという少年と契約しているが、
セバスはそのシエルの魂に異常な執着を抱いている。」
その話を聞きようやく自分の「願い」を見つけるアロイス。
それは「シエル・ファントムハイヴをこの手に。」この瞬間アロイスとクロードの新主従が誕生する。
「なぜセバスの消去ではないのか?」と問うクロードに答えるアロイス。
「セバスに極上の苦しみを。その為に悪魔ご執心のシエル坊ちゃんを奪う」
その極黒思考に「素晴らしい」と目を細めるクロード。この頃が新主従の絶頂期だったのかもしれない。


ところで、旧主従の契約後に新主従が契約したのなら、当然シエルの両親を殺したのは
アロイスではない。アロイスは実行犯ですらなく刺され損ということになる(笑)。
いくつか疑問も。
初回で新主従の契約シーンが描かれていたが、今回「願い」を発表する時、
既にアロイスの舌には契約印が。このタイムラグに何の意味があるのか。
あと、どうしても気になるのが「ルカ」。死ぬ直前のルカの表情から見て、幼いルカは
アロイスの願いを叶えるために魂を代償として何者かと契約してしまったのではないかと思われる。
クロードの話から考えると、それがセバスということになるのだろうが、どうにもピンとこない。
グルメなセバスらしくない(笑)。
あんな子供が突如「イエス・ユア・ハイネス!」とか言い出したのもおかしい。
ルカと契約したのはクロードではないのか?だとしたら、アロイスと契約したのは偶然ではないはず。
そして、これまでのアロイスが別人というなら、本物のアロイス・トランシーはどこにいるのか?
それがルカなのかな。だから似てない兄弟なのか?や、でも違う気がする。
村が全滅してアロイスが闇に囚われた時、一瞬「誰か」が映されていた。
「あれ」は、あの少年?は一体誰なのか。
なんというか、それこそ「ピースが欠けている」感じがしてモヤモヤするなあ。
あと、どうでもいいけど、なんなの!トランシー伯爵!
あれで「女王の蜘蛛」って、あんな無能そうな変態が影の配下じゃ女王もそりゃ終わるわ!


グレルがアロイスの魂を回収しにくるが,赤い人の話ではアロイスの魂は「おかしなこと」に
なっているらしい。赤い人のお相手はハンナに任せて逃げるアロイスだが、腹の傷が開いている。
死期が近づくアロイスに思わずウルッときた。
シエルとアロイスは確かに似ている。何者かに家族を奪われ復讐の為に生きているところも、
その為に悪魔の力を使うところも。でも、相手は所詮悪魔なのだから心を許してはダメなんだよね。
シエルとアロイスの最大の違いはそこだったんだろうなあ。
アロイスもそれは分かっていたのに、いつの間にクロードに依存していた。
三年の間にはアロイスの心に紆余曲折があって、最初はセバスと同じ「悪魔」のクロード達を
忌み嫌っていた。クロードに水ぶっかけたり張り倒す姿は、愛情に飢えた子供が与えられる愛を
信用できずにワザと試すようにも見える。でもいつしかその汚らわしい悪魔で心の隙間を埋めていた。
いつも孤独で不安定だったアロイスを思うと胸が痛む。
そんな諸々があって極悪で陽気でひ弱な初回のアロイスになったんだなあ。
アロイスかわいそう、でもダメなやつ(泣)。


死にそうなアロイスの元にクロード登場。
「旦那様。あなたはまだシエルを手に入れていない。」と語りかけるクロード。
その足に縋って「僕の側を離れるな。僕の世界にはお前しかいない。お前こそが僕のハイネス!」
と叫んでしまうアロイス。
アロイスの「願い」が復讐から依存に完全に切り替わった瞬間。この言葉が縁の切れ目だったのか。
クロードはあっさりアロイスを殺害!!その魂を指輪に閉じ込める。
「たかが執事に愛を捧げる。そんな下種な魂、食欲も到底おこらん。ずっと傍らに置こう。
貴殿の魂にはまだ利用価値がある」
・・・。悪魔様、そうきましたか。ある意味「アロイスの願い」は叶えられたのかもしれないけど、
あまりに極黒な展開に愕然。ていうか、クロードの執事道はその程度か?
執事の美学より悪魔の本能に従ったということなのかね。
今後はその本能に従ってシエルGetに邁進するのか?


そしてハンナが謎。まずグレルに悪魔も刈れるデスサイズで体を貫通されても生きていること。
次に、放置されたアロイスの遺体を見た時に聞こえるルカの声。
「スゴイおにいのお願いはすごい叶うんだよ」あれは誰の回想なのか?アロイス?それともハンナ?
ハンナだとしたら、ルカと契約したのはハンナということになる。
そのアロイスに顔を寄せ「旦那様。あなたの願いは・・・」と問いかけながら、遺体の片目を抉るハンナ。
初回にアロイスがハンナの片目を潰したことと何かつながりがあるのか。
どうやら、ハンナはアロイスと契約を交わしたらしい。
アロイスの魂はクロードが指輪に閉じ込めたはずだが、魂の欠片のようなものが残っていたのか?
(以前アロイスはシエルの魂をバラバラにすると言っていた)


アロイスがハンナに託した願いは何だったのだろう。
アロイスの本当の願いは、死ぬまで結局「一人にしないで!」だったと思うのだけど・・・。(クーラン)