行列48時間 第三回感想

すっかり遅れているが、今更「行列48時間」第三回の感想を
〈あらすじ〉2億円の身代金を持って行列に並ぶ生方(金田明夫)。
その後ろに並ぶ沙也加(平愛梨)との擬似恋愛に心ときめかせる宝福(國村隼)だったが、
謎の女・駒子(かたせ梨乃)から「一緒に死んで」と言われる…。
駒子は、元愛人の古久根(長谷川初範)と無理心中を図ろうとしていた。大河原刑事(渡辺いっけい
は、古久根や宝福の妻・聡子(森下愛子)も誘拐事件を起こした一味だと推理し始めるが…。


いよいよ第三話。
「人間は、餌さえくれれば後は寝ているという動物のような生活は出来ない。
私はそんな動物にはなりたくない。生き残ることが出来る生き物は、強い者でも、賢い者でもない。
変化に対応出来る生き物であるということを私は知っている。」 


宝福のこんな独白で始まる今回。しかし駒子に「一緒に死んで」と切り出された宝福は、
「私は寝ているだけの動物になりたい・・・」と狸寝入りをかまして、見事に難を逃れる(爆)。
前言撤回か、はたまたこれこそが変化への対応か?という宝福の瞬発力に思わず爆笑。
そんな宝福に「あんたカワイイね」と囁く駒子。同じセリフを沙也加に言われた時とは明らかに
反応が違う宝福に、中年男の現金さを感じて笑いを誘われる。
しかし、話はここで終わるわけはなく、駒子が雇ったチンピラ・永岡(半海一晃)がなんと宝福の
ケータイを使い古久根に罠を仕掛ける。
「行列」パートと「駒子」パートが繫がり、ここで更に宝福と古久根に図らずも接点が出来るわけで、
この後、どう転がすのかと期待大!


今回の見所の一つはカウントダウン。
車椅子の「会長」(山田明郷) が皆にシャンパンを振る舞い、盛り上がる一同。ノリノリで
カウントダウンする宝福。そしてちゃっかり参加している岸和田刑事(小林すすむ)の姿が微笑ましい。
その場に居合わせた見知らぬ者同士がその瞬間集い、共に新年を迎え慶ぶ姿は、本当に楽しそうで
心温まる光景に見えた。前半のハイライトシーンだと思う。


そして、今回も新進展。なんと古久根と生方は知人だった!
行列に生方の姿を見かけ、わざわざタクシーを降りて年末の挨拶をする古久根。
おかげで、古久根は誘拐犯の一味として、警察にマークされるはめに(笑)。
そして古久根の乗るタクシーを尾行した警察は、とある家の前で車が停まり一人の女性が降りるのを
目撃する。その家の表札は「宝福」・・・(爆)。
その旨報告する刑事と大河原のやり取りが面白い(笑)。
「ホーフクの女房が暗躍しています!」「ぬわんだとおぉぉっ!」 
それこそ、目ン玉が飛び出そうな渡辺いっけいの顔芸が素晴らしすぎる(爆)。
今回も、大河原の迷推理炸裂で、警察の思い込みにより「謎の誘拐組織・ホーフク」の構成員は
次々と膨れ上がっていく。演じる渡辺いっけいのギョロ目はその都度見開かれ閉じる間もないくらい(笑)。


しかし、警察がいくら「謎の誘拐組織・ホーフク」の構成員を増やそうが、真犯人は歴然と存在する
わけで、ここで新たな展開が。実は真犯人は、前回聡子達が尾行した黒コートの男(木下ほうか)。
そしてなんと駒子が轢き逃げした被害者も誘拐犯の一味だったのだ。
また、この男が身代金受渡しの重要な役割を担っていたこと。その彼が轢き逃げされた為、
現在八方塞がりで、他のメンバーと仲間割れ寸前の状態であることも明かされる。
「駒子」と「誘拐犯」が繫がった!そして、なにげに「聡子」と「誘拐犯」も。
登場人物達の輪がどこまで広がっていくのかワクワクしてくる。


今回グッときたのが、人を観察するのが趣味だという沙也加が、宝福を「普通」だと評した時に、
宝福が彼女に語った言葉。
「私は昔から普通なんです。五十過ぎて、この先右肩上がりの人生の期待は無くて、
でもゴールはまだまだ先で。だから健康で無理することなく普通に長生きしたいなって・・・。」
宝福には、包丁を隠し持つ沙也加のような秘密は何にもない。語る「夢」も地味で本当に普通の男。
しかし、宝福が語る「普通」の夢を叶えるのも、いまや大変な時代だ。
宝福自身も子会社出向への道を絶たれている。蓄えがあるのですぐに困ることは無いが、
「餌さえくれれば後は寝ているという動物のような生き方」を宝福は良しとしない。
前回、駒子は「幸せも不幸も感じずただ生きているだけのシンプルな生き物になりたい。」と
言っていたが、宝福はそんな生き方もしたくはないだろう。
厳しい世の中、人としての幸せを求めつつ今後どうやって生きていくのか、宝福も悩んでいる。
ある意味社会的に「要らない」と宣告された男が、それでも「ゴールまで長生きしたい」と控えめに
生き抜くことを宣言する姿が心に染みた。
そして、この人はこれからの人生もこうやって地味ながら着実にサバイブしていくんだな。と感じた。


しかし、その後また事態は急展開。沙也加と連れ立って歩く宝福のバッグをひったくりが狙う。
そのひったくり犯は仲間割れした誘拐犯の一人で、駆けつけた黒コートの男に撃退され共に立ち去る。
身代金はとれそうもない。ならいっそ手近で金を調達してやるとパニクった末の犯行だ。
この辺りに、この犯人の浅はかさが窺える。状況というのはその都度変化していくもの。
冷静に分析し対処していかなくては何事も成就するわけないではないか(誘拐という犯罪だが)。
冒頭の「生き残ることが出来る生き物は変化に対応出来る生き物である」という宝福の独白に思わず
頷いてしまった。とりあえず、ここで宝福と誘拐犯一味が繫がった。


ところが、騒ぎを聞きつけた警察官に事情を説明する為、宝福は警察署に行くことに。
なんとそこは大河原達が詰めている署だったのだ・・・(笑)。
ついに実現した宝福と大河原の直接対決やいかに!
そして、黒コートの男が突如明かす「もう一人の仲間」の存在。
実は歩ける「会長」初め、皆何かを隠している「行列」の面々。
いよいよ深まる謎。次々と連鎖する人間模様の輪に興味津々です。次回が早く見たい〜!(クーラン)