行列48時間 第二回感想

すでに第三回が放映されているが、今更「行列48時間」第二回の感想を
〈あらすじ〉宝福(國村隼)は行列の先頭から5番目に並び、これで福袋を買って帰れると安堵する。
その宝福を、誘拐事件捜査本部の大河原(渡辺いっけい)は容疑者としてマーク。
一方、妻・聡子(森下愛子)は密かに思いを寄せる古久根(長谷川初範)との宴席に心ときめかせ、
娘・恵美(岩田さゆり)は恋人(水谷百輔)とのお泊りデートを企んでいた。
何も知らない宝福の周辺で、得体の知れない事件の連鎖が広がっていく・・・。


第二回、話は転がり続け更に面白くなっている。もう、見所満載。
宝福は行列に並ぶクールな今時女子沙也加(平愛梨)がバッグに包丁を隠し持っているのを
見てしまい、それに気付いた彼女に「殺スよ!?」と凄まれる。
美少女に脅されてビビる強面のおっさんっていう画ズラが笑えた。
ところが、野良猫に餌をやる等ピュアな一面を持つ沙也加に今度は「宝福、カワイイ!」と懐かれる。
「カワイイって・・・。しかも呼び捨てって・・・。」と脂下がっている宝福にまたまた爆笑。
おっさん面白いわ。
そして、宝福を語る重要なアイテムとして「無類の酒好き」であることも分かってくる(笑)。
勧められた酒は断らず持参した酒も皆で味わい、呑むわ呑むわで盛り上がる。
監視している大河原が「ホーフク、酒好きだな・・・」と呟き、他の刑事は「美味そうだなあっ」
と喉を鳴らす。気持ちがよく分かるだけにツボ(笑)。
宝福は、若い娘との擬似デートで鼻の下を伸ばしても、ギラついた感じや下品な感じがない。
酒も美味しく楽しく呑むことを知っている「普通」の人で、そこがとても良いと思った。
少し枯れかかってるように見えたおっさんがイキイキしてくる図は確かにカワイく思え、
宝福も沙也加と同じようにピュアなのかもと感じた。


一方、友人宅でのホームパーティを楽しむ聡子だが、古久根のケータイに「彼の息子が万引きを
したから店まで来てほしい」という電話が入る。
その店に向うタクシーになぜか乗り込む聡子・田中(大島蓉子)・橘(峯村リエ)。
と、ここで新キャラ登場!それは、彼らが乗るタクシーの運ちゃん(田窪一世)。
「なんかこの話におう!」という女性陣の会話に「それあると思いますよ!」となにげに参加。
おそらく推理小説マニアだと思われる(「ブラックフット殺人事件」ってなんだ?)。
ありがちな設定ではあるのだけど、演じる田窪さんの風貌と演技がインパクトあって、
一気に会話の面白さが加速していた。
古久根は息子に確認の電話を入れ、悪質ないたずらだったと判明する。
しかし、興奮状態の女性陣は古久根の替りに犯人を確かめてくる!と深夜の量販店に乗り込む。
しかし、そこは宝福と沙也加が手繋ぎデート真っ最中の現場で・・・。
といった具合で、別に悪いことしてるわけでもないのに、両者のニアミスにかなりドキドキ
させられた(笑)。フェイントもうまく入れて笑える。
でも、この聡子達のはしゃぎぶりって傍から見たらイタいのかもしれないが、個人的には理解できる。
普通の主婦が深夜に都心の量販店にいるなんて、めったにないと思うのね。
それだけでもう「冒険」で気分が高揚してキャピキャピしてしまうオバサマ方の気持ちが本当に
よく分かります(笑)。でも、たまたま目についた黒コートの男(木下ほうか)が怪しいと尾行して
雑居ビルまで追いかけるんだけど、やっぱり怖くて帰ってくるところなんかは、聡子達の危険を
回避するまっとうな「バランス感覚」が語られていて、こういう人達の「普通」さが
とても良いなあと感じた。
その後、行列に並ぶ宝福に会いに行くが、沙也加と仲良さげな夫に思わずイラッとする聡子。
自分のことは棚に上げ、素直にヤキモチを焼く聡子を可愛らしく演じる森下愛子はさすがだった。


そして今回もドラマを圧倒するのが、駒子(かたせ梨乃)。
駒子のひき逃げ事故を目撃したチンピラ達(半海一晃RIKIYA・TETSUYA) が彼女を
ゆするが、いつの間にか形勢は完全に逆転。無理心中を図る相手の古久根を確保すれば2億円
払ってやると言われ雇われる立場に。
早速古久根をおびき出そうと息子の万引き事件をでっち上げるが失敗し、駒子に喝を入れられた男達は
仲間割れをして殴りあう。そんな男達を手玉にとって嘲笑う駒子の姿はある意味爽快だった。
今回グッときたのが、たいして興味もないくせに適当に駒子と会話しようとするチンピラに
「あたしの人生冷やかさないで!二度と茶化すんじゃないわよっ!」と凄むところ。
傍迷惑で身勝手な人だけど、駒子は駒子なりに今まで必死で生きてきたのだ。と感じた。
古久根は別れ際に「君はシンデレラだ」と言っていたが、お伽話のお姫様みたいな美しい物や
ロマンチックな愛情に憧れる純粋な部分と、それを勝ち取るために必死で頑張るバイタリティが
あるのだと思う。シャンデリアや美術品等美しい物が置かれている駒子の部屋は、
彼女の純粋さと力強さの両方を現しているようにも感じる。


しかし、愛情は頑張ったからと言って確実に得られるというわけではない。
バーで「動物になりたい。幸せも不幸も感じずただ生きているだけのシンプルな生き物になりたい」
と語る駒子。愛情を失い頑張っても幸せを感じることが出来ない現実に空しさを感じているように思える。
そこに笹島(佐野史郎)に連れられ宝福が登場!「(酒の種類が)揃ってますねえ〜!」と相好を崩し
思わずマスターに薀蓄をたれる宝福に何かを感じる駒子。
いきなり「いっしょに死んでくれない?」と切り出す!
おお〜!第二話にしてもう二つの話が繫がってしまった!今後の展開はどうなるのだろう?


しかし、宝福って不思議な人だと思う。駒子や沙也加が宝福に興味を抱く気持ちも何となく
分かるような気がする。穏やかで幸せそうに見えるんだろうなあ。
不思議なんだけど、第一話のリーマン姿の宝福はちっとも良くは見えなかったんだけど、
私服になって「個人」になるとどんどんその良さが滲み出てくる。
國村隼の演技が渋いうえに面白く目が離せない。


監視する大河原はいよいよ迷宮入り状態で、次々とトンでもない設定をこじつけてきて面白い。
大真面目ゆえに段々と無能に見えてきてそこが少し可愛そう。
宝福の本質を「只のにやけた中年男。大それたことをするタイプではない」見抜く
岸和田刑事(小林すすむ)がイイ味出してます。次回もなるべく早く見ます。(クーラン)