「ツレがうつになりまして」第二回感想

周回遅れだが、「ツレがうつになりまして」第二回を見たので感想を。
〈あらすじ〉会社を辞めた明(原田泰造)は、典子(藤原紀香)に変わって専業主夫になる。
生活もおぼつかなくなった典子は、「ツレ(夫)がうつになりまして…」と出版社に苦手な売り込みを
始めるが、さっぱり仕事はもらえない。
一方、里子(風吹ジュン)から「うつは一直線にはよくならない」と聞かされているものの、
明は焦るばかり。泣きながら愚痴をこぼす明と、どう付き合っていけばいいのか戸惑い続ける典子。
ある日、家計の足しにとネットオークションに出品した人形の思いがけない高値に興奮する
典子と明がぶつかり、2人はモノを投げ合う大げんかになる。


ううう。今回ちょっとウルッときた(笑)。
ツレ氏がうつ病と診断されると、てんさんはすぐさま「会社を辞めるように」と言い渡す。
原作・ドラマ両方見て感じるんだけど、コレッて結構すごいことだよなと思う。
ツレ氏が仕事を辞めたら生活出来なくなるということは容易に想像できるわけで、
自分だったら即座にそんなことを言ってあげられるだろうかと考える。


ツレ氏の同僚の対応も「(うつ病に)なったもん勝ちだよ」「哀れだよな」等の言葉に怒りを覚えるが、
実社会はこんなもんだと思う。思いやりがないとも言えるが、思いやれる余裕もないのだろう。
こういう状況で働いていれば自分もリアルに言ってしまいそうでゾッとした。
ツレ氏は真面目で責任感も強かったので、そういう殺伐とした空気を受け流すことも出来ず、
追い詰められてしまったのだろうか。
「お前はゴミだ。価値の無い人間だ」という考えが常に頭に渦巻き、日常生活にも支障を来たす。
発病前がスーパーサラリーマンだったので、尚更、今とのギャップが耐えられないのだろう。
ツレ氏の苦しむさまが痛々しい。


ヨレヨレで仕事を辞め療養生活に入るツレ氏とてんさん。
家の空気が重く、どよよんとした空気が画面からも感じられる。
しかも、二人家族なので、てんさんはどよよんツレ氏と常に直で対面しなければならず、
普通に見ても「これ、きっついなあ」と感じてしまう。
映像だとこういう雰囲気がよく伝わってくるので、病気のご家族の方の苦労を僅かとはいえ
感じられるような気がした。


でも、てんさんがすごいのはこういう状況を「笑ってしまう」感性にあるのだと思う。
「かめぶとん」(実写で見てもかめぶとんだった)状態で、泣きながら「もうしわけない」を連呼する
ツレ氏に思わず笑っちゃうとことか。
てんさんは自分のことをダメダメだと思っているようだが、こういうところが本当に凄いと思う。


そういえば、今回意外にも笑えるシーンが少しあった。
楽しいこと思い浮かべて!とてんさんに促され、「料理や掃除、洗濯したい。
だって、てんさん、下手くそなんだもん。(←おいおい)」と泣きながら言うツレ氏。
大喧嘩になった後、風呂場にてナイロンタオルで首を吊って自殺を図るが、アッサリ失敗し
拍子抜けするツレ氏。「腰打っちゃったヨ。おかしいか?」とイグに語りかける姿に安堵して、
その後、不謹慎だが思わず笑みが浮かんでしまった(すみません)。
コミカルな原作に比べ、ドラマは結構シリアスだが、こういうしみじみした笑いが漂っているのは
見ていて救われる。巧い演出だと思った。


今回、一番グッときたのは大喧嘩の際てんさんが言った「メソメソ、グチグチ!今のツレはあたしが
好きになったツレじゃない!」という言葉。
好きなところが無くなって、別人のようになっても、その人と一緒にいられるのか?
突きつけられると答えに窮してしまう。てんさんの選択はどうなのか?
さつき(濱田マリ)に怒られながらも苦手な編集者に漫画を売り込み、ツレ氏とイグのために漫画を描き、
それも打ち切られて落ち込む。それでも里子先生に励まされ「今度はツレを私が支える番」と決意する。
彼女がそう思えたのは、落ち込みやすいてんさんを、ツレ氏がこれまで励まし支えていたから。
だから、病気で変わってしまっても、ツレ氏のために頑張れるんだよね。
身近の誰かがピンチに陥った時、互いの関係性が変わっても、それを柔軟に受け入れ支えることが
出来るだろうかと、見終わった時、自分に問うてしまった。(クーラン)