ツレがうつになりまして 初回感想

周回遅れだが、「ツレがうつになりまして」(原作:細川貂々)を見たので感想を。
〈あらすじ〉早川典子(藤原紀香)は、売れない漫画家。夫・明(原田泰造)は、外資系IT企業の
サポートセンターで働くスーパーサラリーマン。
「僕が稼ぐから、キミは絵を描き続けろ」そんな言葉に励まされ、典子はのんきに漫画を描いてきた。
ところが、連載は打ち切られ、スーパーのパートに出るがそれも長続きしない。
一方、明の会社では30人の社員が5人にリストラされた上、新商品への苦情が殺到する。
几帳面で正義感の強い明は、本社の重役から激しく叱責され、空回りになっていく。
そんなある朝、明が「死にたい…」と言い出した!


好きな作品のドラマ化なので、視聴するのを躊躇っていたが、結局見てしまった(爆)。
キャスティングが少し不安だったのだ。特に「てんさん」役の紀香様とか(イメージの問題で)。
で、見てみたが、誠実にドラマ化していると思った。
原作はてんさんとうつ病のツレ氏との葛藤の日々を、脱力系?の絵で敢えてコミカルに描いている。
けれど、ドラマはさすがに「コミカル」とはいかなかったようで、結構シリアスに進んでいく。
それが成功していると思った。


まず、ツレ氏が発症していく過程や兆候が至るところに挿入され、思わず引き込まれた。
本々、穏やかで几帳面できれい好きで頼れるタイプ。そんなツレ氏の性格をちょっとしたしぐさ
(例えばゴミ捨て場のドアを触ったあと、ハンカチで手を拭う等)や会話でわからせるように
演出していて、そこが巧い。リストラが行われ徐々に殺伐としていく職場でジリジリと
追い詰められていくツレ氏の様子もきちんと描いている。
原作はてんさん目線で、職場でのツレ氏の描写はあまりなかったので「こういうことだったんだなあ」
と今回改めて、感じることが出来た。
徐々に現れるうつの症状も、不眠やいびきに始まり日常生活に支障を来たすところも描いてあった。
例えば、スーパーで支払いが出来ない。弁当箱におかずを詰めることが出来ない等。
これは自身が体験した人や看病した人しかわからないことだろう。
なので、そういった症状の一部だけでも本作で知ることが出来たのは、私のようにうつ病の知識が
乏しい人にとって意味のあることだと思う。映像だとインパクトあるしね。
演じる原田泰造氏も巧いと思った。


しかし、私にとっては、ドラマのてんさんもインパクト大だった。
このてんさん、売れない漫画家なのは置いとくしても、パートは続かない。
朝も起きず、買い物にも行かずで主婦業手抜き。口癖は「私は負け組み」のダメダメな人。
当然ツレ氏は、仕事の愚痴をこぼすことも出来ず、一層孤独になっていく。


原作でも、ツレ氏が発症する前のてんさんは、確かにオットに頼りきりで守られていたし、
後ろ向きな性格と描いていた。
けれど、それすらネタに面白い作品にしている(パートのエピソードすらイタおもしろい)。
漫画家開店休業時、物を創る方に熱中するうち、漫画の創作意欲を取り戻していくエピソード
にも感動した。更には、うつのツレ氏の理解し難い症状を自身のユーモアで咀嚼してサポートする。
私の中の、てんさんは「負け組」という印象ではなかったのだ。
なので、ドラマのダメダメてんさんには少し驚いてしまった。
しかもなあ。料理もダメ、掃除も苦手って、段々自分と被っていくんですけど(爆)!
ていうか、オレか!これは!(←もちろん才能以外)
だとしたら、私も家族や周囲の人にもっと気を配って、気が付いてあげられなくては。
と素直に思いましたね(笑)。
藤原さんは正直てんさんという感じはしないけど、ダメダメ振りが凄かった(笑)。


原作を読んだ時はツレ氏の言動に非常に興味が沸いていましたが、ドラマ版はダメダメてんさん
ステップ・アップの部分にも興味が沸いています。
ツレ氏とイグちゃんの闘病生活も描いてくれると嬉しいのだけど。次回も見ます。(クーラン)