絵本きらめく、たびたび
朝日新聞夕刊の「ニッポン人・脈・記」。12日「絵本きらめく」の連載が終了した。
絵本が好きなので、それに携わる様々な人達の記事は大変興味深かった。
9日は福音館書店の月刊物語絵本「こどものとも」の創刊秘話の記事が載っていた。
親が私に与えてくれた絵本達はまさにこの「こどものとも」だった。
「こどものとも」は1号が1冊の絵本という新しい形での創刊。
当初はまったく売れず休刊すれすれだったそうだ。
当時絵本に関わりのない彫刻家や画家を大胆に起用し、苦しい状態でも優れた作品を
世に発表し続けた編集の松居直氏(現福音館書店相談役)のお話には感動するとともに
感謝の念を抱いた。
(↓安野光雅先生も大好きだった。これなんか忘れられない。まだ実家にある)
- 作者: 安野光雅
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- 発売日: 1982/11/20
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4日は「みんなうんち」で有名な五味太郎先生の記事が載っていた。
「自分には伝えるテーマはない」と言い切られていて、その理由として
「うまくデザインされた絵本は、読者が自由につかえる(解釈できる)」と語っていた。
更には「なぜ幼児向けとされるのか。自分はそんな常識と闘ってきた。」と語られ大変感銘を受けた。
- 作者: 五味太郎
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まったく別物だと捉えていて、後者ほど子供に対して失礼なことはないと思っている。
五味先生の作品は、この言葉を端的に表している。
作品は、それを読んだ子供が大人になった時も、美しいデザインが記憶に残るようにと願って
描かれたものである。
つまりは大人が見て美しく感じるようにも描かれているわけで、決して「子供用」として消費されるために
描いたものではない。
実際、私の記憶に残っている絵本の数々は、こういった理念で作られた作品ばかりだと思う。
絵の楽しさ、美しさ、文章の優しさ、哀しさ。そういった記憶は自分の財産になった。
これほどの作品達が「幼児向け」と一括りされることに違和感を覚える。
そして私にとってこれは絵本だけに限らない。
児童文学・漫画・特撮・アニメーション等の媒体にも当てはまるものだ。
映画・音楽・小説も含め、こういった媒体に今まで様々な恩恵を蒙ってきたが、最近そのお返しとして
自分に何が出来るのだろうということを、時々考える。
この「絵本きらめく」を読んで、その思いを更に強く感じた。
この記事を書かれた由里幸子さん、大変面白かったです。
写真の近藤悦朗さん、お疲れ様です。
「ぐりとぐら」と中川李枝子・大村百合子先生の3ショットには涙がちょちょぎれました。
(クーラン)