ダラボン以下頑張っている続編

映画「ミスト (原作スティーブン・キング)」の鑑賞券がどこにも売ってません。何故?
そんな訳で「ミスト」 はまだ観れていないのだが、当該作品の監督であるフランク・ダラボン
脚本による「ザ・フライ2/二世誕生」は最近観ることができた。


どういう訳か、この作品のビデオソフトが高齢者のみで構成される私の実家に、誰に観られる
ことなく置いてあったので、先日救出してきたところだったのだ。


カナダの鬼才デビッド・クローネンバーグがハリウッド・メジャーに殴り込みをかけた前作
ザ・フライ」は公開当時劇場で観ており、その素晴らしさに瞠目したが、この続編は今回が
初見。ダラボン以下、前作と異なるスタッフの作品だが、こちらも充実の仕上がりだった。

ザ・フライ 2/二世誕生 [DVD]
第一作で物質転送機の実験中に蝿と一体化したジェフ・ゴールドブラム
博士のわすれがたみの主人公、民間の研究所に軟禁・監視されている。
父親のDNAを受継いだ彼は、異常に早い成長とただならぬ知性で、
周囲を驚かせつつも、ヒトとしての生活をしている。
ただし孤独…周囲は彼を研究材料としか見てくれない。
こころかよわせることのできた最初の友は、実験動物の犬だったが、
悲劇的な別れがあり、その後、夜勤の女性職員とイイ仲になったのも束の間、蝿への変態
が始まる。


本作の監督であるクリス・ワラスは特殊メイクアップ・アーティスト出身だけに、顔が
ひしゃげたりするグロテスクな見せ場の撮り方が達者で、これだけでも好き物には
たまらないが、それ以上に、生まれながらに異形のものであることを運命づけられた
主人公の孤独が丁寧に描かれていて胸を打つ。


この主人公はまた、幼少期から迷路の如き研究所内をウロチョロひとり遊びしているのだが、
それがこの建物の構造を知り尽くしたことになり、後半の追跡に生きてくるという脚本は
なかなかのもの。
そして、皮肉が利いた大団円も上手く描けている。


このラストに不快感を露わにする人もいるらしいが、どうしたってハッピーエンディングに
なりようのない話なので、罪と罰、又は、因果応報なこの展開、私は納得しました。


それにしても…実験動物のイヌちゃんのくだりは涙なしにはみられません。
このころのホラー映画には感情を揺さぶられる展開があったなあ、などどしみじみ感じ入って
しまいました。(○)