東京中央郵便局庁舎が存亡の危機に

東京中央郵便局庁舎をご存知だろうか?東京駅丸の内口前にある大きな白い建物だ。
近くを歩いた方は、すぐには分からなくても、見れば絶対に思い出すはず。
昭和6年築。吉田鉄郎氏設計でモダニズム建築の傑作と言われている。
私も何度も前を通ったことがあるが、味のある外観、大きな時計、婉曲している
コーナー部分等何度見ても見飽きることの無い建物だ。


あの建物が存亡の危機に陥っていると新聞で読んだ。
http://www.asahi.com/national/update/0403/TKY200804030045.html


「またか!」という思いだ。
最近こういった再開発が多いが、歴史的価値のある建物を壊してまでビルを建てる必要が
どこにあるのかと言いたい。


日比谷三信ビルディングも取り壊された。
あんなにモダンで美しく、内部は珍しいアーケード式で昭和初期の日本を代表するオフィスビル
だったのに。
取り壊しの始まった三信ビルを見て「なぜ自分はこの姿を写真に残しておかなかったのか」と
あんなに後悔したことは無い。


この三信ビルディングは「老朽化と安全性のため」が解体の一応の理由だったが、
今回の東京中央郵便局庁舎建替えは、不動産事業の一環として計画されているものだ。
要するに利益の為なんでしょ?その為にこの建物壊そうとしてるんでしょ?
しかし、自分で自分の財産を破壊する理由がそれと言うのはどうしても納得できない。
一度壊された建物と培われた歴史は元には戻らないのだ。
大体、赤レンガ駅舎の隣に高層ビルなんて、風景の調和を損ねること甚だしいではないか。


詳しい事情も知らず、自分が感情でここに物を書いていることは充分分かっている。
しかし、これらの建物はこの街を体現する建築物だったはずだ。
見るだけで、歴史と威厳と文化を感じさせる建物。
それはこの街に来なければ見ることが出来ないし、感じることも出来ないものだ。
そういった建物がどんどん消え去り、どこに行ってもおんなじようなビルが建てられ、
外を歩いても、自分がどの街にいるのかさえ分からなくなる。
そんなことにはなってほしくない。取り壊されないことを切に願う。 (クーラン)