中川勝彦に想ふ 

昨年末の紅白、私にとっての目玉は「中川翔子」と「寺尾聰」だった(それ以降は見とらん)。
中川翔子といえば、おなじみアキバ系アイドル。あの和田アキ子ドラゴンボール全巻を
読破させる等既に数々の偉業を達成している。
しかし、私が彼女に目を留めてしまうのはそれが理由だからではない。
彼女があの「中川勝彦」の娘だからだ。
FROM PUBERTY(紙ジャケット仕様)


中川勝彦。伝説の元祖ビジュアル系アーティスト。
というか私の多感な(?)少女時代そんな言葉はなかった。
私の周りでは彼と本田恭章のことを「耽美系」と呼んでいた。
私は彼の熱狂的ファンではない。だからこんな文章を書くのは
おこがましいと百も承知です
(リアルタイムのファンの方スミマセン)。
それでも当時強烈な印象を彼に抱いた。
私が彼を初めて認識したのは、缶ミルクティ「TESS」のCMだ。
「はなさく〜、む〜す〜め〜たちは〜♪」のBGMが流れる中、美しく化粧を施した中川氏が
正面を見据え「てす・・・ですネ…」と呟いて、うっとりと微笑む…。
文章に書くと、なんじゃそりゃ?な世界だが私的には当時衝撃が走りました。
平穏なお茶の間に無差別に独自の美の世界をまき散らす中川氏には本当にビックリさせられ
ましたヨ。
今でも私は「中川勝彦」と「本田恭章」は当時の日本でそれなりに「ニューウェイブ」を
やろうとしていた方々だと思って尊敬している。しかし、結果として日本には「ニューウェイブ
は定着せず「ビジュアル系」というジャンルが定着してしまったわけだ。
そう考えると「中川勝彦」は早過ぎた出現だったのだろうか? 


その後しばらくして、また「中川勝彦」の名前を思い出したのは、日本サンライズ制作の
ギャグアニメ「超力ロボ ガラット」を見た時だ。
主人公マイケルの声をなぜか中川勝彦が当てていたのだ。
同姓同名の別人だろうと思っていたが本物。しかもオーディションで役を勝ち取ったという。
「え?何の為に?事務所に無理矢理やらされてるの?(失礼!)」等と思っていたが、
その疑問は、後年中川翔子Wikipediaを読み謎が氷解。
中川氏は愛娘にホラー漫画や怪獣特撮の英才教育を施す程のヲタ父さんだったらしく、
そう考えるとロボットアニメにも多少なりとも興味を持っていたのではないか?
がしかし、この番組当時から「早すぎたギャグロボットアニメ」と評され、
あまり評価されることはございませんでした。「中川勝彦」はここでも早すぎたのか?   


その後、「中川勝彦」を耳にすることはあまりなかったがある日新聞で突然その名前が目に
飛び込んできた。
中川勝彦さん、白血病で帰らぬ人に」享年32歳。人生の幕引きも早すぎる人だった・・・。 


それから十数年が経ち、中川翔子なるアキバ系アイドルが現れた。
テレビで時々見かける言動にホンモノの臭いを感じた私だが、ある日彼女のWikipedia
読んで驚愕した。
中川翔子はあの「中川勝彦」の娘だったのだ・・・。
私は氏が結婚していることさえ知らなかったので、言葉では表せない位ビックリしたと同時に
嬉しく思った。
早過ぎたアーティスト中川勝彦の「DNA」は立派に受継がれていたのだ。おそらく最良の形で!


最近、YouTube中川勝彦の映像を見た。トークのみだが、オモロイにーちゃんという感じで
「あれ?こんな感じだったかなー?」と思っていたが、言動が誰かと似ている。誰だろ?
わかった!及川ミッチーにそっくりだ!顔じゃなくて言動や雰囲気が何となく似ているのだ。
「そうかー。彼は王子様キャラとしても早すぎたんだなあ」としみじみ感じ入った次第なのでした。
(クーラン)