紅い眼鏡

紅い眼鏡(完全盤)
先日、チャンネルNECO押井守監督作品「紅い眼鏡」をやっていたので、十数年ぶりに観る。


キネカ大森で劇場公開された当時も観た。しかし、まだ若松プロの作品知らなかったから…。
本作を鑑賞した数年後、六本木のシネマ・テンで大和屋竺の「荒野のダッチワイフ」を観てビックリした。


死ぬ直前に見た、一瞬のような、永遠のような夢…という作品の構造。
モノクロの真っ暗な画面。ハードボイルドかふざけているのかわからない展開。
主人公のファッション。


「あまりに同じじゃないか…!」


そもそも、「紅い…」のストーリィ


  革命を信じて 体制側に反旗を翻したが 果せず 再会を約束して 彼の地を後に
  数年後 舞い戻った頃には 昔の同志は 国家のイヌに


って、モロに若松プロの思想じゃん。


  そして 主人公は カービン銃を手に ではなくプロテクト・ギア を身にまとい
  ひとりぼっちの戦争を始める


ってならなかったのは、予算の都合か。
それで、得意の夢うつつの世界。おぉ大和屋竺とも繋がったって訳か。マネが悪いって言っているのではない。
むしろ、80年代末、皆が浮かれ出した時代に、こんな「滅び行くものの挽歌」をテーマにした
作品発表するなんてカッコいいじゃないか。


極端に動きの少ない、セリフだけで進行する演出は「パトレイバー2」を経験した今では、全然苦痛ではない。
むしろ、セリフひとつひとつが印象に残ります。 
「失敗に達人はいない」とか「磁石と砂鉄の話」とかね。


洗脳された昔の仲間が過去の罪状を懺悔する16ミリフィルム
(荒野の…のブルーフィルムへのオマージュか)
で「破壊活動防止法」なんて言わせていてニヤリとする。


昭和ノスタルジア風な画面作りも冴えているし、やっぱり、これは秀作ですよ。(○)