休日

この日も朝から雨が降っていたが、午後様子を見たら止んでいたので、慌てて支度をして映画を観に出掛けた。
鑑賞後に中華料理屋で食事。
ということで今日の夕飯

前菜:押豆腐のサラダ、棒棒鶏サラダ  オットはグレープフルーツジュース、私は麦焼酎できめる

細切り豚肉炒め乗せラーメン(オット)、野菜つゆ蕎麦(私)


★「コズモポリス」鑑賞。(監督:デヴィッド・クローネンバーグ、主演:ロバート・ パティンソン)
〈あらすじ〉ニューヨークの青年投資家エリックは、28歳にして巨万の富を築きあげ、金の動きに一喜一憂しながら、愛人達との
快楽にふける毎日を送っていた。そんなエリックの背後に暗殺者の影がちらつきはじめる。


主人公のエリックが、大渋滞の中、2マイル先の理髪店に「リムジン」で向かうことから始まる、破滅への道程が描かれる。
(以下、ネタバレ)


ハイテク装置を備えた巨大な白いリムジンでは、仕事の指示、インターネット、食事、排泄、睡眠、セックスと、エリックの
生活の殆どが、この閉鎖空間で行われる。「リムジン」はエリックの「世界の全て」といっても過言ではないのだ。
そんな「世界」の中で、今日も訪れる訪問者達と、深遠な意味があるような無いような会話を繰り返すエリック。
秩序と調和を重んじ、証券市場の未来を予見する力で巨万の富を築いたエリックの目は虚ろで、身体性を喪失しているかのよう。
愛人達との密会も彼の虚無を埋めることが出来ない。
そんなエリックだが、彼の理論や秩序が通じない人民元の相場が読めず、実は今にも富は消え去ろうとしていた。
その頃、毎日決まった医師に診てもらっていた健康診断が、その日に限って別の医師で、しかも「前立腺が左右非対称」と診断される。
自分の意志とは関係なく、体は調和を裏切っている。別に健康の面では何の問題もないが、その事実に激しく動揺するエリック。
しかし、その辺りから、エリックの何かがズレていく。
訳もなくリムジンを飛び出し、やっと着いた床屋では、右側頭部の髪を切っただけで立ち去る。挙句の果てには、左の掌を拳銃で・・・。
彼を守っていた安全な「世界」を飛び出してから、エリックが体験するアシンメトリーな事象。それらは全て彼自身が決めたことだ。
調和からは程遠いことを敢えて繰り返し、その不快感で身体性を取り戻していくかのように見えるエリック。
しかし、それははたから見たら「混沌」にしか見えない。けれど、ようやく「生きる実感」を得た彼に待ち受けていたのが、
「死」だったというのは、エリックにとって最初で最後に味わう「理不尽」だったろうし、非対称まさしくアシンメトリー
結末になったと思う。エリックに引導を渡すのが、イケメンで大富豪の若者エリックとは対照的な、ブ男で無職の中年男だったいう
事実もアシンメトリーだった。


現代社会に生きる人間の虚無を描くのは、いかにもクローネンバーグらしくて興味を惹かれたのだが、如何せん会話劇が主体で、
その会話の殆どがリムジンの中で行われるので、まず画的に面白味が無い。更に撮り方も、セリフを話す人間を、延々切り返しで
撮っているだけなので、とっても単調。言いたいことは、なんとなく分かるような気がするのだが、中盤からは正直退屈だった。
最後の無職男との会話は大幅にカットしても良かったと思う。
同じようなテーマならば「クラッシュ」の方が、断然素晴らしい出来だと思う。