休日。

この日は、珍しく昼間から映画を観に行く。車で行ったが、映画が終わった頃には大雨で丁度良かった。帰宅後、家呑みする。
ということで今日のつまみ

  • 麻婆豆腐
  • おから
  • 枝豆と海藻入りのサラダ
  • 大根の煮物 きのこあんかけ
  • 肉じゃが
  • その他   オットはビール、私は焼酎できめる


★「あなたへ」鑑賞。(監督: 降旗康男 出演:高倉健、田中裕子、佐藤浩市草なぎ剛大滝秀治浅野忠信ビートたけし)。
〈あらすじ〉刑務所の指導技官の英二は、亡妻・洋子が生前にしたためた絵手紙を受け取る。そこには「故郷の海に散骨してほしい」
と書かれていた。英二は洋子の真意を知る為、キャンピングカーで彼女の故郷・九州へと向かう。道中で出会う様々な人々と交流し、
悩みや思いに触れていくうちに、妻との何気ない日常の記憶が蘇ってくる。


映画館で予告を観た時は、正直、あまり興味をひかれなかった。しかし、私自身、いわゆる「ロードショー」で観た、健さん
出演映画が、「南極物語」「ブラック・レイン」「ミスター・ベースボール」と、いわゆる「変化球」しか、鑑賞していない
という事実に気付いた。現在81歳という健さんの年齢を考えても、ここで一度健さん映画のロードショー体験をしておくべきだと
考えて鑑賞に踏み切る。
結果として、観て良かった。しみじみとした趣のある映画だったと思う。
健さん自身については、先日「夜叉」を観たばかりというのもあり、当時と比べると、声の張りや身のこなし等に、正直衰えを
感じてしまったのは確か。それなのに、確実に主役として成立している。それは、健さんが、映画を引っ張っていく演技ではなく、
共演者の力を引き出す演技で、作品の格を底上げしているからだと思う。カリスマ性を抑えているように見えるが、それは逆に
作品の上質なトーンとなり、共演者もそれに見合う演技を要求されている。共演者達も皆、分をわきまえた演技で、映画の
邪魔になったり、質を落としたりする役者は一人もいなかった。健さん自身、役者同志のアンサンブルを楽しんでいるのでは
ないかと感じた。特に、調子のいいイカメシ売りの男と、年上の控えめな部下を演じた草なぎ剛佐藤浩市の演技が素晴らしい。
本作が遺作となった大滝秀治の演技は心に残る。


降旗監督のポリシーである「察する文化」を貫いた演出は、観客にとって決して親切な類のものではないと思う。
「分かる人だけ、分かってくれればいい。」という立ち位置で映画を撮れるのは、この年齢だからこその強みではないかとも思うが、
そういう意味でこの映画は、まさしく降旗色の作品だった。映画に奉仕するかの如く、降旗監督の世界を体現する健さんの演技は、
本当に心に沁みたし、その佇まいは鮮烈で、それだけでも観た甲斐があったと思う。
一見地味に見えるが、実はとても贅沢な映画だった。(クーラン)