奇天とPヴァイン

かつて奇想天外社という出版社があった。
世間的にどの程度認知されているのかは知らないが確かにあった。


大友克洋の単行本を最初に出したのは
ここだった。
まとめて読んで、その才能を実感した。


中子真治の「超SF映画
(重量約2kgの労作!)の出版および
坂口尚、幻の劇画版「ウルフガイ」の
単行本化もここだった。


中子氏のおかげで、ジョン・カーペンター
デビッド・クローネンバーグの存在を知ることができた。
(クローネンバーグはこの時期まだ日本での劇場公開作は一本のみだった)
また、緻密に調べ上げた膨大なデータにも瞠目した。
初めて目にした坂口氏の画は強烈にショックだった。70年代初期のアングラ・アートの匂いが
プンプンする。
(又、加筆してある部分は微妙にタッチが違っていて、そんなトコロをさがすのも面白かった)


都筑道夫石上三登志の評論集も出版してくれていて、教わることが多かった。
(他の評論家からは全く無視されてたジョン・ブアマンを正当に評価したのもこの二人だ!)
信頼できる評論家に出会えた喜び…。


かつて、奇天という出版社は、まだ見ぬ新しい何かとの出会いを促すものが犇めく、
最も信用のおける出版社だった。


そして今、P-VINEという音楽レーベルがある。
またしても、漠然として形にならなかった「素晴らしい何か」を私のまえに差し出してくれる。


ジャズ・ファンクなんて、どっから手を付けていいか、そもそもどんなものがあるのか分からないと
思っていた時期にReturn of Jazz Funkと銘打ってグルーヴ・マーチャント・レーベルの
アルバムの連続リリース。
更には、聴きたくっても中古レコード屋の高値の花だったBlack Jazzレーベル全タイトルのリリース。


書籍と音楽という違いはあるこそすれ、両者にはものを発信する業界の正しい在り方というもの
を感じてしまう。
奇天はなくなっちゃたけどP-VINEさんはこれからも頑張ってください!(○)


ということで、P-VINE再発アルバムのナイス・ジャケ・コレクション
インナー・クライシススウィート・シスター・ファンクザ・スキッパー(紙ジャケット仕様)