「監査法人」総評

NHKドラマ「監査法人」を見終わった。
公認会計士」という一見地味な職種をメインに持ってきた割には面白かったと思う。


個人的には勤めていた時に「監査法人」の方々と接する機会があったので、
ドラマに違和感を感じないでもなかったが、途中から割り切ってみた。


全6回のドラマの序盤から中盤は、旧態依然の「ぬるま湯型」監査方針の理事長篠原(橋爪功
と最先端の「厳格監査」を謳う代表社員小野寺(豊原功補)の対決とその勝敗を描き、
後半は、篠原を塀の中に追いやり、新しい「監査法人」を立ち上げ自ら理事長に就任した
小野寺が、その「監査法人」の経営存続の為、かつての篠原と同じ過ちを犯すまで。
その過程を二人に関わる若き公認会計士若杉(塚本高史)の目を通して描き、
彼自身がどんな人生を選択するかで「監査法人」ひいては「公認会計士」の意義に迫っている。


前半、緻密な企業監査を描きながら後半、やや情に流れてしまったという点はある。
しかし、それも仕方がないことなのかと思う。
なぜなら、これは数字で白黒つける職種を描写しながら、結局は「正解のない世の中」を
描いているからだ。篠原が若杉に語る言葉で
「同じ生き方をしてきた一人の人間に対して、あるときは善といい、あるときは悪という。
そんな時代と戦う。」という言葉がある。
篠原のやってきたこと全てが褒めるに値するものではないとは思うが、時代の流れや価値観の
変化で簡単に善悪の基準までも変わってしまう。
考えてみれば恐ろしい話だが、これは特別な職種に限ったことではない。
篠原もそして徐々に変わってしまう小野寺も、平面的な「悪」等ではなく、深い人物の奥行きが
感じられる。


しかしこのドラマは、一連の流れを主人公若杉の目から描くことにより、少しでも希望を
感じられる終わり方にしている。
若杉は、篠原に憧れ苦学の末「公認会計士」になり、就職してからは小野寺に厳格監査を
徹底的に叩き込まれた、いわば二人の「息子」的存在。
しかも彼自身は一児の父だが、家庭は崩壊寸前だ。
その若杉が、二人の「大人」に「理想」と「失望」を味わわされ、友人と小野寺を救う為の
粉飾決算承認で会計士の誇りまでも失い、小野寺のもとを去る。
別居中の妻には「あなたはいつも正しいことしか言わなかったけど、それが辛かった。
正しさが人を傷つけることもある。」と言われる。
全てを失った若杉が選んだ道は、どの監査法人からも見放された「監査難民」となっている
「自動車部品会社 尾張部品」の顧問会計士だった。
粉飾決算のからくりを見抜き、尾張部品会長(大滝秀治)に
「会計士としてこの決算は認められない。でも再生の道は必ずある。一緒に頑張りましょう。」
と語りかける若杉。
「ああ。このドラマは若杉がこの一言を言えるまでのドラマだったんだなあ。」と思った。
考えてみれば初回タイトルは「会社、潰せますか」で最終回タイトルは「会社、救えますか」
今まで「監査法人側」として、企業を斬って斬って斬りまくって苦しんだ若杉が、
今度は斬られないように共に苦しんで頑張る「企業側」の道を選んだということなのでしょうか?


尾張部品会長(大滝秀治)と取締役律山(うじきつよし)の企業と社員を守る為には、自分が例え
どうなっても何でもするという高潔な信念にも感動した(←今時こんな人はいないでしょうけど)。
世の中の価値観を変えるのも「人」ならば、企業を形づくるのも「人」なのだ。
考えてみれば、律山が強固に若杉に「顧問会計士」を依頼したのは、落とした名刺に対しても
キチンと電話をかけてくる若杉の細やかな心遣いと誠実さだったのだ。
若杉なら篠原とも小野寺とも違うやり方で企業を救えるのではないだろうか?
経済ハードボイルド(?)ではなかったかもしれないが、そんな、希望を思わせるラストで
良かったと思う。


役者陣は、改めて橋爪功氏の演技の巧さを実感した。
主演の塚本高史氏も、初主演がNHKで共演者もほとんどがベテラン勢の中、大変な
プレッシャーだったと思う。
しかし、橋爪功豊原功補との対決シーンは見応えがあり、気合が伝わってきた。
個人的には、第3回、4回に出たジャパン監査法人会計士の吉野を演じた勝村政信氏が
印象に残った。
自分の弱さに向き合いながら、恐怖に慄きながらも発する言葉がとれだけ力があるものかを
吉野の姿が教えてくれた。(クーラン)

現金な男

この週末、オットは重要任務があるらしい。
そのせいで、今日は早めに帰宅して当日の現場数箇所を車で下見。なぜか私も同行した。
もちろん、夕飯を外で済まそうという魂胆だ(←ダメダメ主婦)。
車のBGMはオット編のAOR集。オットそっちのけで、AORに浸り涼しい車内を耽溺する私。


しかし、辺りが薄暗くなり、どうにも場所の把握が難しくなってきたらしい。
俄然、ピリピリしだすオット(笑)。
集中できない!とBGMをブチッと切り(←ああ〜)、同じ道を何回も廻り始める。
大丈夫かなあ〜。と横目でチラ見していたが、しばらく走ると段々機嫌が良くなってきた。
最悪の事態は免れていた…らしい?


夕飯は、すっかり気が大きくなり「鰻が食べたい!」等と言い出したオットを横目に
近所の和食系ファミレスで済ます。
ということで今日の夕飯

  • うな重ざるうどん(オット)
  • 揚げモチうどんミニうな丼付き(私)

   
現金な男はどうしても鰻が食べたかったらしい…(笑)。
うどんが異常に多いので「なんじゃ、こりゃ〜」と思っていたが、元々1.5倍のメニュー
だったらしい。後で知った。
オットにつられて頼んだミニうな丼(笑)は当然、全部食べられませんでした(泣)。(クーラン)